過熱する「Kindle」と「nook」の戦い:米国電子書籍事情(1/2 ページ)
日本語に対応したKindleがようやく登場すると沸く日本。しかし、米国ではKindleとnookが激烈な争いを繰り広げている。日本の数歩先を行く現場からの報告。
nookの新モデルで起死回生?
6月21日(米国時間)、Barns & Noble(以下、B&N)は電子書籍リーダー「nook」のWi-Fiモデルを149ドルで売り出した。同時に、既存の3Gモデルを259ドルから199ドルへと値下げしている。これに呼応するかのように、同日、Amazon.comもKindleを259ドルから189ドルに、Kindle DXを489ドルから379ドルに引き下げた。B&Nの先制攻撃に、Amazon.comが値下げのスケジュールを早めた格好だ。
6月21日に発売されたnookのWi-Fiモデルだが、今のところ店舗に在庫がない。オンラインでオーダーするか店舗で注文するのみとなっている。nookは家電ショップ大手のBEST BUYでも販売されており、こちらでもWi-Fiモデルはオンライン注文のみだ。
なお、値下げ直前にnookを購入していたユーザーは、14日間の返品ポリシーを利用して差額を返金してもらえる。ただ、その場合は値下げ前のnookに付属してきた10ドルの電子書籍ギフト券も一緒に返品する必要がある。
“リアルショップ”で存在感を増すnook
現在、B&Nは実店舗を持つ強みを生かしたプロモーションを積極的に仕掛けている。その一環として、B&Nワシントン州ベルビュー支店で毎月開催されている「Hooked on NOOK Group」と呼ばれるディスカッショングループに参加した。
nookのプロモーションイベントは、B&Nの全店舗で開催されているわけではなく、都会にある比較的大規模なショップに限られている。また、イベントの名称も店舗によって異なり、企画の内容なども店舗側に任されているようだ。
ベルビュー支店のイベントは19時開催と仕事帰りでも行きやすい。久しぶりにB&Nの店舗に行って驚いたのが、以前は奥に設置されていたnookの販売カウンターが入り口の近くに移動していたことだ。カウンターの飾り付けもずいぶんと派手になっている。久しぶりに見たnookカウンターでは、家族連れの母親が熱心に販売員に質問していた。
イベントは店舗の奥にあるフリースペースにいすを並べて行われた。説明員は女性と男性の2名。参加者は年配の夫婦を中心に11名ほどで、その約半数がすでにnookを所有していた。
新OSでWi-Fi接続機能を強化
ワークショップはWi-Fiモデルの発表と同時にリリースされた新OS(ver.1.4)のチュートリアルに沿って進められた。ver.1.4ではWi-Fi接続機能が強化され、従来はB&N店舗内のみ接続可能だったWi-Fi回線が、全米のAT&Tが提供するWi-Fiホットスポットで利用できるようになっている。スタッフによると、この改善で、nookユーザーがWi-Fiに接続できる場所が数千カ所以上も増えるそうだ。
ver.1.4の新機能としてもう1つ特徴的なのは、ユーザーの要望で追加したという「Go to Page」機能だ。下部の液晶パネルにページを示すバーが現れ、ワンタッチで読みたいページに移動できる。
さらにnookでは、さまざまなオンラインクーポンを提供している。レジで見せると店舗内の商品が10%割引になるクーポンや、B&Nストア内Wi-Fi限定の無料書籍ダウンロード、店舗内のカフェでトールサイズのコーヒーが無料になるクーポンなどを月替わりで配信している。
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