東北地方太平洋沖地震は出版、印刷、製本といった一連の産業に多大な影響を与えていると日本新聞協会が伝えている。日本新聞協会は全国の新聞社・通信社・放送局が倫理の向上を目指す自主的な組織として、1946年7月に創立した社団法人。
日本新聞協会のニュースによると、東北関東大震災の影響で、新聞用紙を生産する4工場が当面操業不能となった。これは、製紙連合会加盟6社で構成する新聞用紙委員会から日本新聞協会に使用量を抑制し、用紙規格を可能な限りそろえてほしいという要請とともに伝えられたもの。震災時の用紙使用に関する要請は初めてだという。
操業不能となっているのは、大王製紙のいわき工場(福島県いわき市)、北上製紙の一関工場(岩手県一関市)のほか、日本製紙の石巻工場(宮城県石巻市)、岩沼工場(同岩沼市)、勿来工場(福島県いわき市)、秋田工場(秋田市向浜)といった工場。これらの製紙工場の新聞用紙生産能力は国内供給量の17%を占めるという。
デーリー東北や岩手日報など幾つかの新聞社は災害援助協定を結んでいる近隣県などの新聞社に組み版や印刷を委託。このほかの各社も予備電源を使い、ページ数を圧縮するなどして特別発行態勢を取り、新聞発行を継続しているという。なお、停電は12日午前から順次復旧しているが、その後の計画停電や断水、燃料不足、製紙工場の被災の影響などにより、新聞発行の維持は予断を許さない状況だという。
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