出版デジタル機構、電子化したコンテンツの定期配信開始
出版社がすべての出版物の電子化を目指して立ち上げる新会社として昨年設立された出版デジタル機構から、電子化された作品の定期配信を開始した。
出版デジタル機構は4月19日、同社が昨年度注力してきた事業の1つである「コンテンツ緊急電子化事業」(緊デジ)によって電子化されたタイトルの配信を開始した。
出版デジタル機構は、2011年9月に講談社・集英社・小学館・新潮社・筑摩書房・東京大学出版会・東京電機大学出版局・文藝春秋・平凡社など20社が設立に合意し、出版社がすべての出版物の電子化を目指して立ち上げる新会社として2012年4月2日に設立された。東日本大震災で被災した地域への復興施策として経済産業省が打ち出した「コンテンツ緊急電子化事業」(緊デジ)の申請代行/配信パートナーとして出版社からコンテンツを預かり、その電子化業務を主に行ってきた。
今回の発表は、そうして電子化されたコンテンツを電子書店へ定期配信開始したというもの。まずはみすず書房、講談社、スリーエーネットワーク、山陰中央新報社の78タイトルが配信された。みすず書房の最初の出版物として1946年に刊行された『詩心の風光 新版』(片山敏彦著)や、『村上春樹短篇再読』『村上春樹〈訳〉短篇再読』(風丸良彦著)、孤高のジャーナリスト、本田靖春氏の絶版タイトルを含めた28著作をまとめた『電子版・本田靖春全作品集』(講談社)、島根県の県紙・山陰中央新報社が「古事記」編纂1300年を記念して昨年出版した『マンガで親しむ出雲神話1 スサノオ』などがある。
配信先の電子書店は、「エルパカ BOOKS」「GALAPAGOS STORE」「紀伊國屋書店 Kinoppy」「コープデリ e フレンズ電子書店」「kobo イーブックストア」「コンテン堂」「セブンネットショッピング」「d マーケット BOOK ストア」「デジタル e-hon」「どこでも読書」「TOP BOOKS」「NEOWING」「Varsity eBooks」「ひかり TV ブック」「BooksV」「BOOKSMART Powerd by BOOKER’S」「BookLive!」「BookLive! for Toshiba」「honto」「本よみうり堂デジタル」「漫画全巻ドットコム」「MOBI-BOOK」を予定しているという。
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