Kindle、Kobo、NOOKなど電子書籍専用端末が採用するディスプレイ技術の開発を主に手掛けるE Ink Holdingsが直近四半期の決算を発表した。同社の利益は1550万ドルで、3300万ドルの損失を出した前四半期から業績は好転している。同社はデジタルサイネージ関連に投資を行っており、大手ベンダーは低消費電力の要件を満たすE Inkの製品に注目している。
E Inkは研究開発に多額の資金を投資し、Carta、Regal、Mobiusといった数々の新技術を開発した。同社は最近、コーポレート本社と研究開発センターを閉鎖し、すべてを1つの物理拠点に集約している。
E Inkの利益の大半は電子書籍専用端末での採用によるものだが、同社の顧客はクリスマスシーズンを控えて、電子書籍リーダーの成長途上の人気について自信を抱いている。米Pew Research Centerによる調査では、今年の電子書籍リーダーの浸透率が19%から24%へ増加するとあり、その傾向は世界のほかの地域にも広がりそうだ。Kindle Paperwhite、Kobo Aura、NOOK Glowlightといった新型デバイスが国際市場で非常に売れるのではないかと予測されている。
注目を集めるのは、ソニーが日本で12月にリリース予定の柔軟性のあるディスプレイを搭載するデジタルペーパー「DPT-S1」だ。この製品はともにそのディスプレイ技術の開発に取り組んでいたソニーとE Inkの1年にもおよぶ長い提携関係から生まれている。
これらの新製品以外に、E Inkはデジタルサイネージ・スマートウオッチ・スマートフォン・手荷物タグ・地元の食料品店の価格ディスプレイなどで堅調な状況にある。この分野からの利益はほとんどないが、同社のゴールは来年までに世界のサイネージ市場で1%のシェアを握ることだ。
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