マイクロソフト,デバイスドライバの互換性への取り組みをアピール

【国内記事】 2001.07.05

 マイクロソフトは7月5日,10月25日に発売予定の同社の時期OS「Windows XP」に関し,米国でリリースされたRC1(Release Candidate 1)における技術的な特徴を紹介する「Windows XP 第2回テクニカルセミナー-Inside Windows XP アプリ&周辺機器編」をプレス向けに開催した。日本語版の発売日などのマーケティング的な内容もあったが,中心となったのは,Windows XPのハードウェア的な視点からの技術紹介と,ソフトウェア的な視点からという2つのアプローチだった。

 冒頭で挨拶した同社マーケティング部門の御代茂樹シニアマネジャーは,「米国での10月25日発売は動かないが,日本語版のリリースがいつになるかは未定。また,RC1を一般ユーザー向けに,雑誌添付などを通じて提供することはしない」と話した。

 次に,「ハードウェアセッション」と題したプレゼンテーションが行われ,Windows XPのデバイスとの互換性や,「Designed for Windows XP ロゴプログラム」について話が進められた。

 同社ハードウェアプラットフォームグループの久保雅司マネジャーは,「Windows 2000までのシステムクラッシュの原因を調査すると,常にデバイスドライバに起因するものがトップだった。ドライバの品質にはそれぞれレベルの違いがあるが,うまく対応して信頼性を上げたい。一方,ユーザーにはプラグアンドプレイによるインストールをさらに推奨していく」と話す。

 Windows XPでは,互換性を高めるために,Windows XPのメディアCD-ROMに既にドライバが組み込まれている「In-box」ドライバが強化されている。久保氏は,「可能な限り多くのデバイスをカバーしたい」と話している。

「In-box」ドライバは,2000年1月以降のWindowsシステムで使用されているデバイスにフォーカスし,エンドユーザーや市場データ,デバイスベンダーからのフィードバックが反映されているという。現在,約1万デバイス以上のIn-boxドライバが実現されているが,スキャナやマルチファンクションデバイス,ビデオキャプチャカードなどで対応が遅れているのが現状としている。

 また,Windows 2000に対応したデバイスドライバは,そのまま利用可能という。この場合,「Designed for Windows 2000」ロゴを取得したドライバを指す。久保氏は,「Designed for Windows 2000のロゴ取得ドライバがWindows XPで動作しなかった場合,基本的にWindows XPのバグとして扱われる」と話した。例外として,ディスプレイアダプタや1394コントローラ,USBコントローラ,赤外線アダプタを挙げている。

Designed for Windows XPロゴプログラム

 同社は,Designed for Windows 2000の延長として,「Designed for Windows XPロゴプログラム」を実施することを明らかにしている。これは,Windows XPに対応するハードウェアおよびソフトウェア製品が満たすべき品質および性能に関するガイドラインを提示するもの(リンク)。ロゴを取得した製品は,Windows XPとの互換性テスト済みであることがエンドユーザーに明示されることになり,サードパーティー製品の質を向上させることにもつながるとしている。"

プレゼンで示されたロゴ取得プログラムに関する資料

 加えて,Windows XP出荷以降は,新規あるいは更新されたデバイスドライバをWindows Updateを通じて提供していくという。

 さらに,Windows XPから新規に追加された機能として「Windows Driver Protection」も紹介された。これは,ベンダーテストなどで,システム停止やブート不可,データ損失,セットアップ完了などを妨げるような重大な障害が報告された場合,そのドライバのインストールやロードを完全にブロックするものだ。

 Designed for Windowsロゴプログラムの一環として,Windowsロゴテストに合格したことを示すデジタル署名も引き続き利用可能。エンドユーザーは,Designed for Windowsロゴプログラムに合格したデバイスドライバであることや,ウイルスに感染してないことなどを確認できるとしている。

 終わりに,同社はDesigned for Windowsロゴプログラムのメリットをまとめた。ハードウェアメーカーにとっては,自社製品の付加価値としてエンドユーザーにアピールでき,また同社が用意するWindowsカタログに製品が掲載されること,Windows Updateなどを通じてデバイスドライバが配布されること,サポートコストが低減することなどを挙げた。

 一方,エンドユーザーにとっては,ロゴの有無をWindows XP対応製品の購入指針として活用できることや,Windows XPの新機能の長所などをストレスを感じることなく享受できるというメリットがあるとしている。

 Windows XPでの同社の取り組みは,素直に評価できるところが多いが,一方で,意図的か結果的になのかは別として,できるだけ古いバージョンのWindowsを減らしていくという方向性は見える。メモリに関して,128Mバイトが推奨されているし,Windows Media Player for XPは文字通りWindows XPのみをサポートするアプリケーションだ。既存の64MバイトのPCなどを利用するユーザーは,128Mバイトへのメモリ増設作業が必要になるなどの実質的な壁が存在する中で,Windows XPがどう普及していくかを考えるのも興味深いだろう。

関連記事

▼Microsoft,Windows XPのRC1をリリース

関連リンク

▼ハードウェア互換性リスト

▼Designed for Windowsロゴプログラムハードウェアベンダー向け

▼Designed for Windowsロゴプログラムエンドユーザー向け

▼Windows XPホームページ

▼ハードウェア関連技術情報(英文)

▼Windows DDK(英文)

[怒賀新也 ,ITmedia]