Linux Column:エンタープライズLinuxのメインプレーヤーはだれか?
【国内記事】 | 2001.07.24 |
ここのところの猛暑のせいかどうか分からないが,Linux界隈であまり目立った動きがないな,と思っていたが,探してみればいろいろと出てくるものだ。
1つは大きな事例として大韓航空の事例だ。
IBMのプレスリリースから引用すれば,使用しているマシンは「eServer zSeries 900」(昔風?に言えばS/390の系譜)で,WebSphereを使ってフライトプランとDaily Accounting(日収計算)に使っているとのこと。
反Linux派から見れば「なぜネイティブなz/OS上で開発しないんだ」という意見が出るのだろう。プレスリリースから読み取る限りだと突発的なシステムピークに対して1台のマシン上で幾つものLinuxを走らせることにより対応できると説明されている。
うぅーん,それでもVMなLinuxを幾つも走らせるだけの余裕があるなら,ネイティブなプロセスを動かしてやってもいいんじゃないか,なんて風にニュートラルスタンスというか技術的な興味からは思ったりもするが,よりハイエンドなエンタープライズなシステムにおいてLinuxが選択されているのはLinuxの可能性を広げると言う意味では歓迎されることかもしれない。
このケースでもそうだが,RT-Linuxの場合などもその1つだ。
Linuxの下にもう1つOSがあるので,構造図を書いてみるとLinuxがミドルウェア的な,ちょうどJava VMのようにクロスプラットホームにいろいろとアプリケーションを書くためのインフラのような感じになっているのが面白い点だ。今までは,SIAS(Standard Intel Architecture Server)での利用が多かったLinuxだが,今後はこのようなミドルウェア的なLinuxの使い方が流行するかもしれない。
RT-Linuxといえばこんなものが発表されていた。
「川田工業株式会社,研究用人間型ロボットisamu(イサム) を開発」
AIBOなどが火をつけたロボットブームだが,当然ロボット工学においてはずっと研究開発が行われていた分野だ。最近の最先端はやはり2足歩行の人型ロボットな訳だが,このエリアにおいてもRT-Linuxが利用されている。
このisamuがすぐにエンタープライズ分野に結びつくわけではないが,ここまでの研究から派生するさまざまなノウハウが,例えば工業分野へと応用されることもあるだろう。どちらかというとエンタープライズというよりはインダストリアルな面でのLinuxの活用になるが,Linuxもさまざまな分野にじわじわと広がっているといえるだろう。
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[宮原徹 ,びぎねっと]