Oracle9iをベースに業種別ソリューションを構築,iSiDと日本オラクルが提携

【国内記事】 2001.09.07

 日本オラクルと電通国際情報サービス(iSiD)は9月7日,ブロードバンド環境を前提にした企業向けソリューション展開に向けて提携を結び,共同でプラットフォームの開発,提案,マーケティングなどを行っていくことを明らかにした。

 目的は,ブロードバンドならではのコンテンツを活用できる環境を,企業に向けてソリューションの形で提供することだ。具体的なターゲットは2つある。動画やストリーミングコンテンツを提供しようと考えるネットワーク事業者や既存のメディアと,大容量のCADデータを扱う製造業だ。

 両社はここで,先日リリースされたばかりのOracle9iデータベースやOracle9i Application Serverをベースに,企業の持つデジタル資産を統合的に管理できる基盤を提供していく。この基盤はデジタル・アセット・マネジメント(DAM)プラットフォームと呼ばれ,これまでばらばらの形式で保存・管理されてきたさまざまなコンテンツや情報を,一元的に管理する役割を担う。

 両社は今後このDAMをベースに,当面のターゲットとなるネットワーク事業者/メディア向け,製造業向けに,それぞれソリューションを構築・提供していく。2001年いっぱいはこの2つの分野に専念するが,第2段階として流通・サービス業,公共といった分野も視野に入れていく予定だ。

 発表の席でiSiD産業ソリューション事業部長の伊東洋氏は,「業種ごとにソリューションモデルを構築していくことが特徴。これによって短期での導入を可能にする」と述べた。また,必要に応じて,他のパートナーからコンサルティングや技術支援なども受ける方針だ。

 これに備えて両社は既に,総勢45名からなるプロジェクトチームを整えており,10月1日より本格的に活動を開始する予定だ。合わせてiSiD内に技術開発センターを設置し,ユーザー向けのデモンストレーションや技術検証,サポートを行っていく。

 両社とも,このビジネスによって本格的に収益が得られるのは来年以降としながらも,それでも「iSiDとしてはこのビジネスによって,8億円規模の機会が生まれると見ている」(iSiD代表取締役社長,瀧波壽太郎氏)という。

メディア向け,製造業向けが最初のターゲット

 ネットワーク事業者やメディア向けには,DAMの上にさらに,メディア・アセット・マネージメント(MAM)というアプリケーションを構築,提供する。MAMは,コンテンツおよびその属性情報,著作権情報などをライフサイクル全般に渡って管理するものだ。

 MAMは,コンテンツの登録,保管,検索やモバイル機器も含めた配信および課金を1つのプラットフォームで管理できる環境を提供する。Oracle9iのキャッシュ機能などを活用することでパフォーマンスを高め,リッチコンテンツの配信ビジネスを後押しする。

 このメディア向けソリューションのシステム価格は,最小構成で2000万円から。まずは,各地でブロードバンドインフラの実証実験を行っている事業者などを対象に提案を行うという。

 もう1つのターゲットとなる製造業では,容量が大きく,そのためインターネット経由では交換が難しかったCADデータや3Dデータを交換しながら,設計段階における調整から調達,購買活動までをトータルにサポートする仕組みを提供する。

 具体的にはオラクルの「Oracle E-Business Hub」「Oracle Internet Procurement」「Oracle Financials」といったアプリケーションを活用し,CSM(コラボレーティブ eプロキュアメント)を提供していく方針だ。また,iSiDがこれまで蓄積してきたCAD分野,およびOracle ERPの蓄積・経験を反映できることも,強みになるとしている。

「これまでも,EDIやe-プロキュアメントを実現しようという動きはあったが,率直に言うといくつかの例外を除けばうまくいっていない。これに対し我々は,あくまでユーザーが限られたクローズドなシステムをターゲットにしていくことが特徴だ。また,これまで蓄積してきた顧客ベースも強みになる」(伊東氏)

 両社はこのソリューションによって,製造業にとって待ったなしの課題となっている「コスト削減」「業務のスピードアップ」を実現していくという。

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関連リンク

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[高橋睦美 ,ITmedia]