Linux Column:ペンギンはアンヌ隊員の夢を見るか?

【国内記事】 2001.10.17

 アンヌ隊員ではなく,モロボシ隊員でも毒蝮三太夫(アラシ隊員)でも誰でもいいのだが,ウルトラ警備隊といえば,誰もがあの「ビデオシーバー」が欲しかったはずだ(少なくとも私はそうだ)。

 そういえば,ちょっと前のNTTドコモのCMでも,ビデオシーバーで通信しているカットを使っていた。FOMAは,まだまだこれからとは言え,いやがおうにも携帯端末でテレビ電話を……,という期待はある。そんな中で先週は,Linux絡みで気になる発表が2つほどあった。

 ひとつはテキサス・インスツルメンツ(TI)が自社の「OMAP」アーキテクチャでLinuxをサポートすることを表明したことだ。OMAPは,携帯端末でも採用されているアーキテクチャだ。既にヨーロッパで携帯端末の大きなシェアを持っているエリクソンなどもいち早くLinux対応を表明していることから考えると,続々と携帯端末でのLinux対応が進むことが考えられる。

 携帯端末の普及・利用が,日本だけの専売特許のように今までは言われてきたが,最近では,欧米でもかなり携帯端末でのメッセージのやり取りが増えつつあるという調査結果も発表されている。需要が一巡した感もあるので,これまでのような爆発的な需要増は望めないものの,これからのこの分野は乗り換え需要を見込んだ端末の高機能化へと向かうだろう。そのような際に,Linux利用が果たしてどこまで進むか,注目したい。

 そしてもうひとつがIBMがシチズン時計と共同で発表した「WatchPad」だ。

 こちらは随分前に試作機が登場しており,今回は時計メーカーと共同での試作機開発と,より現実味を帯びてきた発表となる。既にBluetooth端末としての機能を組み込んでいるということから,FOMAなどの仕様をサポートした携帯端末化を行うことも,そう遠くない将来に可能になってくることだろう。

 最近,Linux関係で派手な発表がないとお嘆きの読者にも,別々に発表された別々の技術が,何か完成品をイメージしながら見てみると,徐々に我々が思い描いていた未来(それは現在になりつつあるが……)を実現する方向に,着実に進んでいるのが分かるだろう。

 また来週は,「LinuxWorld Conference & EXPO/Tokyo」が開催される。

 今回は比較的落ち着いた雰囲気で様々な成果を見聞きすることができそうだ。手前味噌ながら我が社もブースを構えてデモンストレーションやプレゼンテーションなどを行う予定なので,是非お立ち寄りいただきたい。

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[宮原 徹びぎねっと]