自動車にもXP,「Car .Net」を米マイクロソフトの古川氏が紹介
| 【国内記事】 | 2001.10.22 |
2001東京国際自動車会議が10月22日,都内のホテルで開催された。自動車産業が直面する,ITによるグローバル化,地球環境との共生,自動車の機能自体が大きく変わるニューエンジニアリング化という3つの波による経営環境の変化を,業界関係者の間で共有することを目的として同イベントが開催されている。
テクニカルセッションの1つとして,米マイクロソフトでコンシューマー戦略担当バイスプレジデントを務める古川亨氏が,「ITとともに進化する21世紀のカーライフ“エクスペリエンス”」をテーマにセッションを行った。同氏は,自動車と情報技術の融合により,自動車の新しい利用形態を実現させる「Car .Net」構想を紹介した。マイクロソフトは,2001年1月にラスベガスで開催されたCES(Consumer Electronics Show)で,同構想を発表している。
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| カーライフ“experience”を語る古川氏 |
セミナーの前半では主にWebサービス,同社の用語ならXML Webサービスという「サービスとしてのソフトウェア」の考え方が,おなじみの「スティーブマスタ−ズの災難」(関連記事参照)などのビデオを交えて紹介された。
「Car .Net」の説明は後半部分から行われた。携帯端末から,MSNや自動車メーカー,テレマティクスのポータルなどを通じて,認証や交通情報,ナビゲーション,ストレージなどのWebサービスを利用するプラットフォームが紹介されている。
Car .Netの考え方は.Netの一部と言ってよく,さまざまなデバイスをインターネットに接続させることが前提になる。これまではアナログ的に行ってきたことや,自動車の中ではできないと考えられてこと,つまり自動車の中を仕事場にしてしまうようなことをデジタル化によって可能にしていこうというものだ。
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| Car .Netプラットフォームの概念図 |
自動車を効率的な仕事場に変身させるサービスについては,ビデオでも紹介された。主人公の男性サラリーマンが会社から帰宅するために自動車に乗り込むと,現在のカーナビゲーションシステムに似たデバイスの液晶パネル上に,サービス画面が自動的に起動する。
主人公が車を運転しながら,「明日のスケジュールは?」とそのデバイスに話しかけると,「14時から会議です」と次の日のスケジュールが音声で伝えられる。ここでは,「音声自動認識機能」と自分の会社のサーバへのアクセスが実現していることになる。
「メールチェック」と命令すると,電子メールやボイスメールなどの複数のメッセージングツールに届いた自分へのメッセージを,すべて音声によって確認することができる。
これには,テキストの音声変換や,音声のテキスト変換技術などを用いて,電子メールやボイスメール,FAXなどから届くメッセージを一元的に管理していく「ユニファイドメッセージ」という技術が利用されている。
主人公は,部下から電子メールで届いた売り上げ予想修正の知らせを受け,次の日の会議で使う資料の数字を修正するようボイスメールで部下に指示を出した。
さらに,家まであと15分ほどになったとき,主人公の妻から連絡が入る。「その場所から2ブロック先のスーパーでにんにくを買ってきて」とお使いを頼まれてしまう。妻は,インターネットによる「ロケーションサービス」により,夫の現在の居場所を把握していたわけだ。
古川氏が,「かあちゃんにいつも居場所を捕捉されていることが幸せな人生かどうかは分からない」と話すとおり,少し背中が寒くなるようなシーンではあった。多かれ少なかれ,ロケーションサービスについては,プライバシーや人権の問題がクローズアップされることになるかもしれない。
また,慶應義塾大学の村井純教授が,ワイパーにIPアドレスを持たせ,ワイパーの動き始めた地域や,ワイパーの動きの速さをいち早く把握することで,その情報をビジネスに生かしていくというアイデアにも,同氏は触れた。(関連記事参照)
ビル・ゲイツの原点に帰るマイクロソフト
古川氏は,.Netをきっかけに,ユーザーのニーズを聞き出して必要なものを作っていくという「ユーザーと一緒にものを作っていく」というビル・ゲイツの考え方の原点にマイクロソフトが立ち返ると話す。
同氏は,「(Windowsに関して)嫌ならほかのものを使え,という考え方が一部にあったかもしれない」と話している。
異なるシステムの違いを意識することなく,XML連携することを目指した.Netは,少なくとも構想としてはオープンでフェアなものになっている。
マイクロソフトとしては,だれもが参入できるガラス張りのプラットフォーム,つまり.Netプラットフォームを提供した上で,そこに自社としての製品やサービスを投入し,なるべく多くのユーザーを獲得しようと努力することになるわけだ。
構想としても技術的にもオープンであるのは確かで,Windowsのときのように,独占禁止法違反で訴えられるようなことはあまり考えられない。それゆえに,.Netプラットフォームでマイクロソフト製品が実質標準になったような場合,ライバル企業にとっては厄介な事態になるのかもしれない。
関連リンク
[怒賀新也 ,ITmedia]


