Linux Column:LinuxWorld Conference & Demo/Tokyo 2001で考えたこと

【国内記事】 2001.10.30

 先週,都内で開催されたLinuxのイベント「LinuxWorld Conference & Demo/Tokyo 2001」に参加してきた。実に盛況で,大忙しのカンファレンスだった。自社の展示に加え,初日に行われた3時間弱のパネルディスカッション。2日目は,データベースに関するセミナーと目が廻りそうなスケジュールだった。

 まぁ,半年に一度のお祭りと思えばなんでもない。

 今回のカンファレンスは,どちらかとセミナーがメインで,展示はサブという感じではあったが,それでも沢山の出展社が展示を行っていた。米国でのLinuxWorldで見かけた韓国の組み込みLinuxの企業「PalmPalm」も出展をするなど,日本のLinuxWorldも少し外に向けて開かれてきたかな,と感じられた。

 しかし今回もまた,いま1つイベントのテーマが絞り込めていなくて,なんとなく展示ブースが並んでいるような感じがしたのは残念だ。来場者がどちらからというとこれからLinuxを始めてみようかな,という雰囲気で見に来ているのに対して,レッドハットやターボリナックスのような主要なディストリビューションが出展しておらず,そのほかの出展もどちらかというとハイエンド系のソリューションを見せているようで,ちょっとミスマッチングだったような気もした。

 Linux市場は,まだまだこれからの市場であり,これからのユーザーを惹きつけるような何か一工夫が欲しかったのは私だけだろうか……。

 思うに,Linuxという名前はほぼ浸透しただろう。Linuxで何が出来るかも分かった。ただ,Linuxを検討しているユーザーは,おそらくそれほどお金がない。十分お金があるなら,商用UNIXを選ぶだろう。きっと……。

 前回のコラムで,「安ければいいというものではない」と書いたが,Linuxのイメージはやはり「安い」だろう。ただ,そこに「堅牢である」「セキュリティ的に安心感がある」というイメージを抱かせることも必要だ。「安さ」をクローズアップしつつ,まずはユーザー自身が安全性や堅牢性を肌で感じ取れるような,そういう段階を経て本格的な導入へとつながるのではないだろうか?

 今回のイベントの来場者がそういう体験をして,Linuxへの道の一歩を踏み出してくれたとすれば,出展社の1人としてペンギン冥利につきるというものだ。ペンギンスーツは暑くて……。

[宮原 徹びぎねっと]