マイクロソフト,ITカーに向け「Windows CE for Automotive v.3.5」を発表
| 【国内記事】 | 2001.10.31 |
マイクロソフトは10月31日,千葉・幕張メッセで東京モータショーが開催されている中,同イベント会場近くのホテルで,同社の自動車向けのソリューションを紹介する「Microsoft Windows CE for Automotive Conference」を開催した。併催された記者発表会では,いわゆるITカー向けの組み込み型OSとなる「Microsoft Windows CE for Automotive v.3.5」が世界に先駆けて発表された。
冒頭で挨拶した同社プロダクトディべロップメントリミテッドの藤井照穂プレジデントは,ホットスポット――例えば,自動車に乗ったまま立ち寄れるファーストフード店などをブロードバンドアクセス可能なスポットにする――や,インターネットでの音楽配信のニーズが高まることを指摘し,「車載システム市場は日本では特に重要だ」と話す。マイクロソフトは5年前に同システムへの取り組みを始めたという。
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| ボブ・マッケンジー氏 |
また,米マイクロソフトからは,同社オートモーティブビジネスユニットでゼネラルマネジャーを務めるボブ・マッケンジー氏がスピーチを行った。同氏は,マイクロソフトの取り組みの現状について,Windows CE for Automotive v.3.0を2000年9月に,自動車の新しい利用形態を実現させる「Car.NET」を2001年1月に発表したことなどを紹介した。さらにこの日,世界で初めてWindows CE for Automotive v.3.5を発表することについて触れている。
同3.0以降の製品の最大の特徴は,車載システム全体の中で,マイクロソフトは基盤となるプラットフォームのみに特化して製品提供することだ。そのため,実用的なアプリケーションは同社のビジネスパートナーであるサードパーティ各社が開発し提供していく。
端末やアプリケーション開発をするビジネスパートナーとしては,日本はクラリオンやケンウッド,デンソー,東芝,NEC,日立製作所,三井物産,三菱電機,鳥取三洋電機が,米国ではデルファイ,クラリオンなど,ヨーロッパはボッシュ,シーメンスなどが挙げられている。
同3.0と比べて,新製品の同3.5では,汎用プラットフォームとしての機能をさらに追求しているという。その1つ「フレキシブルUI」は,ACC(Automotive Common Control)とACC-ext(日本拡張仕様)による新しいUI構築ツールだ。UIのデザインや画面の遷移,アニメーションなどをXMLリソースファイルで定義できるという。このため,同じソースコードベースで同じ機能を持つが,見た目(UI)は全く違うといったアプリケーションを開発できる。
つまり,これまでは,UIのデザインと,実際の機能を支えるプログラムが結合していたため,UIが異なれば別のソースコード開発とテストが必要だったが,フレキシブルUIを利用することで既存の製品に「着せ替え」を施し,そのまま新しい製品に生まれ変わらせることができるわけだ。
アプリケーション開発担当者は,同じような製品の開発やテストの手間を省くことができ,無駄な支出やエンジニアのストレスを抑えることができる。さらに,より革新的な分野の研究開発にエンジニアの工数を割り振ることもできるようになる。
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| WCE for Automotive v.3.5ベースのアプリケーション。このUIだけを差し替えて別製品を作ることもできる |
また,ハンズフリー操作の実現をはじめ,安全性を考慮するとITカーと切り離せない音声認識機能についても,Windows標準音声APIであるSAPI 5.0に対応している。
さらに同3.5は,「高速コールドスタート」を実現しているという。車載システムは,自動車のバッテリーが上がってしまうのを避けるため,エンジンが掛かっていないときにバッテリーの電流を消費しないコールドブートが適用されているという。同3.5では,高速であるウォームブートを前提としたWindows CE設計をコールドブートに適用させることで,従来と比較して高速なコールドブートを実現したとしている。
加えて,システム規模に応じた新しい対応としては,ブラウザや日本語フォント,描画ライブラリなどのモジュールを選択できるようにもなったという。例えば,ブラウザでは,フルスペックの「組み込みInternet Explorer」(3.3Mバイト)か,軽めに作られている「MS Mobile Explorer」(700Kバイト)をシステム規模に合わせて選ぶことができる。
車載システムとカーナビの関係
マイクロソフトのプロダクトディベロップメントリミテッド,ITS戦略統括部の平野元幹部長は,現在主流であるカーナビと,同社が開発中である車載システムの関係について,ワープロ専用機とパソコンを例に挙げて説明した。
同氏は,ワープロ専用機が主流だった時代の次に,パソコン上のソフトウェアとしてのワープロが登場し,今ではワープロと言えば後者を指すようになったとする。車載端末もパソコンと同じように,将来的には「カーナビ専用機」に取って代わるというのが同氏の見方だ。
平野氏は,ワープロのスタンダードが専用機からパソコンへと移行したときのことを振り返り,「あのころ,パソコンが今ほど多種多様な性能を持つことを予想した人はいなかった。インターネットもなかった」と話す。
Windows CE for Automotiveシリーズなどをベースにしたインターネット接続機能を持つ車載端末も,まだ発展途上であり,「今後どんな新しい利用方法が出てくるか分からない。したがって,どんなものがキラーコンテンツになるのかもまだ分からない」と話し,車載端末によって実現されるコンテンツやアプリケーションの広がりが大きいことを示唆している。
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[怒賀新也 ,ITmedia]


