Case Study:ミラポイントのメールアプライアンスでサービスを安定させた東京大学(2)

【国内記事】2001.11.05

 勝手メールサーバも,相応のスキルを持った担当者が付いて管理・運用を行っているうちはまだいい。だが,たとえば管理が片手間に行われ,中途半端な状態で運用されるサーバもまま存在した。また管理を担当していた学生が卒業してしまうと,その後は面倒を見てくれる人も居ないまま放置されるケースまであった。こうなると,セキュリティ上非常に大きな問題となる。

 昨今しばしば取り上げられる不正アクセスだが,実はこうした放置サーバを悪用して行われるケースが非常に多い。パッチを当てられないまま放置されているサーバは,セキュリティホールを突いての不正侵入を招くだけでなく,他サイトへの攻撃やスパムメールの足がかりともなる。

 一連の問題の根本には,メールサービスが必須のものとなっているのにもかかわらず,ユーザーがニーズに応じて利用でき,しかも管理者が容易に運用できるインフラが欠けていたという状況があった。

メールシステムを最小の手間で安定運用

 東京大学情報基盤センターではこうした問題を踏まえ,新たなメールインフラを構築することとした。

 新システム第一の要件は,手間を掛けずに,安定したメールサービスを実現できることだ。同センターに潤沢な人員があるわけではない。学内の勝手メールサーバをセンターに収容し,1つひとつ面倒を見るという方法もあるが,それではあまりに手間がかかりすぎる。

 そこで目を付けたのが,ミラポイントのM2500だ。メールサーバをM2500に集約し,一元的に管理を行うことで,メールを文字どおりサービスとして学生や教員に提供することとした。メールアプライアンスとして設計されていることから,機能面,性能面が最適化されており,管理が容易なことが決め手となった。

東京大学情報基盤センターで稼働中の「Internet Message Server M2500」。キャパシティにはまだ余裕があるという

「Sendmailやqmailなどのフリーウェアを組み合わせてもメールのやり取りは提供できます。この方法には,トラブルが発生した場合に自分で問題を追求し,解決できるというメリットがあるが,いかんせん,運用に要する手間や負担が非常に大きい」(東京大学情報基盤センター助手,安東孝二氏)

ミラポイント選択の理由として「できるだけ安定したサービスを提供したかった」ことを挙げた安東孝二氏

 スキルを持つ人間がいないと止まってしまうメールサービス,などというのは本来許されないはずだ。「できるだけ安定したサービスを提供したいという課題があったが,それを解決してくれたのがミラポイントだった」(安東氏)。この新システムによって,それまで最大の課題であった,最小の手間での安定運用が実現された。

「正直にいえば,それまでは何かトラブルが起きるたびに教官が対応に当たらねばならず,“どうして電子メールごときにこんなに手間を掛けなくてはならないのか”とぼやき混じりに思うこともしばしばでした。だが新システムに移行してからは,一定の経験を持っていれば普通の人でも対処できるようになりました」(安東氏)

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[高橋睦美 ,ITmedia]