シチズンの携帯デバイスはLinuxがお好き?

【国内記事】 2001.11.06

 シチズン時計は11月6日,「21世紀に変貌する新しいシチズンの姿」を紹介する技術・製品・サービスの総合展示会「CITIZEN FORUM21」を都内で開催した。同イベントは,明日(11月7日)まで,東京国際フォーラム(東京都千代田区)で開催されている。

 CITIZEN FORUM21では,同社の「時計」「情報機器」「部品」「産業機械」という,4つの事業分野で開発中の新製品や新技術が4つのゾーンに分かれて紹介されている。今回,時計ゾーンおよび情報機器ゾーンでLinux搭載の携帯デバイスが参考出品されていた。

IBMと共同開発の「WatchPad 1.5」

 まずは時計ゾーンにおいて,日本アイ・ビー・エム(日本IBM)と共同で開発したLinux搭載の腕時計型コンピュータ「WatchPad 1.5」をユーザーやパートナー向けに初めて紹介されている。同製品は10月11日に両社によりその開発が明らかにされたもので,今回はシチズンのオリジナルデザインバージョンが展示されていた。

WatchPad 1.5のシチズンデザインバージョン。製品化は間近か?

 機能やスペックは,11月に発表されたものと同じと言うことだが,さすがにシチズンがデザインすると丸みを帯びたより製品に近い仕上がりとなっている。さらに今回,高コントラストの省電力液晶を搭載したバージョンも出展されている。こちらのバージョンでは,試作機では文字がつぶれて読めなかったLinuxのブートメッセージのような小さな文字もはっきりと読むことができた。

WatchPadの高コントラスト液晶バージョン。細部まできれいに見える

携帯Linuxアプライアンスサーバ?!

 情報機器ゾーンでは,2種類のLinux搭載の携帯情報デバイスが紹介されていた。

 今回,出品されたのは,小規模コミュニティ向けグループウェア専用デバイスの「Party'sLink」(パーティーズリンク)および携帯GPSデバイスの「TravelWalker」(トラベルウォーカー)の2製品。

Linux搭載のiモード対応小規模グループウェア専用デバイスの「Party'sLink」

 Party'sLinkは,カーネル2.4ベースのLinuxサーバOSを搭載したグループウェア製品で,オフィスなどの固定環境ではLANかモデムを,移動時にはPHSを利用してクライアントデバイスと通信することが可能。クライアントデバイスとしては,iモード対応の携帯電話やPC上のWebブラウザなどが利用できる。

 Party'sLinkを利用することで,iモード対応の携帯電話からグループスケジュールが参照できるだけでなく,スケジュールの入力も可能。展示品では,iモードからのアクセスだけでなく,プーマテックの「Intellisync」機能を組み込んだ,PCとのデータ交換もデモされていた。

プーマテックの「Intellisync」機能を組み込むことでPCとのデータ交換も可能

 一方,TravelWalkerは,米SiRFテクノロジーズが開発したGPS受信システムと,シチズンの低消費電力技術により開発されたウォーキングナビゲーション向けのGPSモジュール。従来製品の10倍の感度により信号が微弱な場所でも使用可能で,起動時間も短く長時間の使用が可能という。現在位置表示機能だけでなく,通過経路情報を本体の内蔵メモリに保存することもできる。

携帯GPSデバイスの「TravelWalker」

 展示品では,新宿副都心付近を想定した通過経路情報の確認がデモされていた。

 この2つのシステムが搭載されているハードウェアは,OSにカーネル2.4ベースのLinuxが採用されたもの。入力方式として日本語キーボードとタッチパネルを搭載。320×240ドットのバックライト付きカラー液晶,充電式リチウムイオン電池/ACアダプタ,CFカードスロット(TYPE II)およびRS232Cを搭載している。

 なお残念ながら,今回参考出品された3製品ともに,製品化は今のところ未定ということだ。

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[山下竜大 ,ITmedia]