Linux Column:IA-64 Linuxは電気ペンギンの夢を見るか

【国内記事】 2001.11.07

 先週は,立て続けに各社からIA-64プロセッサを搭載したマシンが発表された。

 どのマシンもインテル製Itaniumプロセッサを最大4基搭載可能という,ほぼ同一のスペックだ。まぁ,これは現在のPCというのはインテルがCPUと合わせて提供するマザーボードのリファレンスに沿って製造されるのでそんなものだろう。というわけで,この辺りでは特に各社間での差異はないのは当然か……。

 さて,各社がそれらのマシンで提供するソリューションも,基本的には科学技術計算などが必要とされる分野とのこと。確かに,64ビットのメリットを享受できる領域というのは,高速な浮動小数点演算が必要な科学技術計算か,あるいは広大なメモリ空間を利用できるデータベースか,それぐらいしか思いつかない。

 Webサーバなどの一般的なアプリケーションにおけるパフォーマンスのボトルネックは,素人考えでもI/Oの高速化につきるだろうと思うので,これにはまた別のテクノロジーが必要になる。

 というわけで,現状のところ,爆発的にすべてのシステムがIA-64に移行していくとは少し考えにくい。まだ出始めということもあり,徐々に浸透していく,という感じなのだろう。その辺りに,マイクロソフトがWindowsのIA-64対応をそれほど急いでいない理由があるのかもしれない。

 しかし,科学技術計算の分野では,Linuxをバリバリ使っているユーザー(というよりも開発者といった方が正しいかもしれない)は数多い。Linuxが先行してIA-64に対応しているのは必然といえる。

 機を一にして,カルデラもIA-64対応のディストリビューションを発表するなど,市場整備は進みつつある。ただ,やはり絶対的なタマ数不足というのか,ユーザーもいない,情報もない,事例もない,どうすればいいか分からない,という感じは否めない。

 何か1つ,きっかけがあったら,IA-64とLinuxは面白いと思うのだが……。IA-64対応版のOracle for Linuxが出てきたらどうだろう? メモリも安いことだし。

 はたして電気ペンギンの夢は見られるのだろうか? なんとなく,Open Linux 64のISOイメージをダウンロードしながら,夢想(妄想)してみたりしたのだった。

 余談になるが,あまりダウンロードしている人がいないせいかOpen Linux 64のダウンロードは,ADSLでも「あっ」という間だった。Red Hat Linux 7.2のリリース直後に,「ダウンロードに180時間かかります」と表示されたのとはえらい違いだ。

 まぁ,当たり前か……。

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[宮原 徹びぎねっと]