トレンドマイクロ,Linux対応のServerProtectを間もなくリリースへ

【国内記事】2001.11.08

 トレンドマイクロは間もなく,Linux対応のサーバ向けウイルス対策ソフトウェア,「ServerProtect for Linux」をリリースする。

 同社は10月に,ネットワークアプライアンスが販売するNAS(Network Attached Storage)製品,「NetApp Filers」に最適化したウイルス対策製品,「ServerProtect for Network Appliance Filters」と,EMCのNAS製品「Celerra File Server」専用の「ServerProtect for EMC Celerra」をリリースした。

 これと並行して,ファイルサーバ用途での導入が増加しているLinux対応版を開発,年内に販売する計画だ。また,「Windows Powered Network Attached Storage」についても同様に,専用のウイルス対策製品を提供していくという。

NASのファイルシステムに特化

 今年9月に登場した「Nimda」は,電子メールへの添付,マイクロソフトのInternet Infromation Serverの弱点,それにファイルサーバを利用して感染を広めていった。複数の経路を通じて感染することから,膨大な広がりを見せたことは記憶に新しい。

 先述のようにトレンドマイクロが,NASやファイルサーバ向けの製品をリリースしている背景には,このNimdaの登場だけでなく,一般にウイルスの感染力が強力になっていることがあるという。「マクロウイルスが蔓延した次には,必ずといっていいほどファイル感染型のウイルスが増える傾向がある」(同社プロダクトマネージャ,加藤貴氏)。

 また現在,企業システムを流れるデータ量は増大の一歩をたどっている。これまでのように,複数のWindows NTやNetWareサーバを用いてデータを保存するのではなく,ファイルサーバの機能に特化したNASが採用されるようになってきた。

 NASは,高速かつ大容量のファイルサーバを簡単に実現するが,それは逆に,ウイルスにとっても格好の繁殖場所が与えらるということでもある。

「ウイルスがクライアントやメールゲートウェイに与える被害も甚大だが,顧客にとって真に重要なデータはファイルサーバに保存されていることが多く,ここを守る必要がある」(加藤氏)

 ServerProtect for Network Appliance Filtersも,ServerProtect for EMC Celerraも,そうした背景から生まれた製品だ。いずれも,既存のServerProtectのエンジンを活かしつつ,NASのファイルシステムに特化したウイルス検索を行うことが特徴である。

 具体的には,NASとは別にウイルス検索用のサーバを立て,そこからリモートプロシージャコール(RCP)を利用したエージェント経由で代理検索が行われる。また,NASのファイルに独自の「タグ」を付け,検査済みのファイルとそうでないファイル,新規に書き込みが行われたファイルとを区別することで,効率よく検索を実現する工夫がなされた。

 既存のサーバ向けウイルス対策製品では,特にNASなど大容量のデータに対するウイルスチェックには多大な時間がかかっていた。だが,これら2つの新製品では,ほぼリアルタイムに検索を行えるようになったという。特に,ServerProtect for Network Appliance Filtersでは,ベンチマークテストの結果,スループットに対するロスを7%程度に抑えられたということだ。

 さらに,1台のNASに対して複数のウイルス検索サーバを立て,ラウンドロビン形式で検索の負荷を分散させることも可能だ。これらサーバに対するウイルスパターンファイルの更新や検知状況の確認などは,管理コンソールから一元的に行える。

 特にEMC Celerraについては,競合他社からも同様のウイルス対策製品がリリースされている。これについて,機能はほぼ横並びとしながらも,「EMC側と緊密に連絡を取っており,サポート体制で差別化を図っていきたい」(加藤氏)という。

Windows Powered Network Attached Storage対応製品も計画

 同社は今後も,電子メール経由のウイルス対策を進めるとともに,こうしたファイルサーバ向けのウイルス対策製品にも力を入れていく予定だ。その一環として近日中に,マイクロソフトが提供する,Windows Powered Network Attached Storageに対応したウイルス対策製品を発表する計画である。

 また,ServerProtect for Linuxもほぼ完成の域に近づいており,遅くとも来週には発表される見込みという。これはRedHat Linux Linux 6.2/7.1に対応しており,価格は1サーバにつき29万8000円の予定だ。パターンマッチングによるウイルス検知のほか,マクロウイルス,スクリプトウイルス,圧縮ファイルの検索といった機能をサポートするという。

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▼トレンドマイクロ

[高橋睦美,ITmedia]