Interview:「1度書けばすべてのデバイスで動く」アリゴのJ2EEモーバイルサーバ

【国内記事】2001.11.27

米アリゴは1999年に設立されたワイヤレスソフトウェア企業。J2EEサーバと密に統合し,企業向けのモーバイルアプリケーション構築を可能にする「Aligo M-1 Server」を開発,チャールズ・シュアブやシーディーアイなどの企業に提供している。今回,日本市場の開拓を目的に11月26日に,テクマトリックスと販売契約を締結した。そこで来日した同社のCTO(技術最高責任者),ジェフ・カポネ氏と,企業向け戦略的提携担当ディレクター,ブレント・シーン氏に話を聞いた。

来日したジェフ・カポネCTO(写真左)とブレント・シーン氏

ZDNet なぜ,日本市場へ進出するにあたり,テクマトリックスをパートナーとして選んだのですか。

カポネ テクマトリックスでは,J2EE/XMLベースの企業インフラ構築の次のチャレンジとして企業向けのモーバイルソリューションの実現を検討していました。その条件が,既存のJ2EEインフラを有効に活用してモーバイルアプリケーションに拡張させるという考え方であり,われわれが提供してるAligo M-1 Serverによる戦略とピッタリ一致したのです。

 テクマトリックスはまた,数多くの海外ソフトウェア製品を日本市場に根付かせてきた実績があります。さらに日本市場において非常に強力なエンタープライズJava分野でのノウハウや,経験豊かなSIチームを持っていたことなどが,テクマトリックスとパートナーシップを組むことにした理由です。

ZDNet パートナー企業の中に「富士通」の名前がありましたが,富士通は販売パートナーではないのですか。

シーン 富士通は,技術パートナーとして協力関係にあります。われわれの製品は,J2EE準拠のアプリケーションサーバ上で動作します。ですから,オラクルやサン・マイクロシステムズをはじめ,BEAシステムズ,IBM,シルバーストリームなど,さまざまなアプリケーションサーバベンダーと協力しているのです。

 富士通も,J2EEアプリケーションサーバ製品である「INTERSTAGE」を,ワールドワイドで販売しています。もちろんAligo M-1 Serverは,INTERSTAGEの上でも動作します。今のところ富士通とは技術的な強力だけで,(Aligo M-1 Serverの)販売については(日本でも米国でも)行っていません。

ZDNet テクマトリックスでは,パートナーを見つけるために十数社の製品を検討した結果,アリゴの製品が最も優れていると判断したようですが,Aligo M-1 Serverは,他社製品に比べどこが優れているのでしょう。

カポネ ある競合製品では,J2EEおよびマイクロソフトの.Netプラットフォームの両方をサポートしていますが,バックエンドサーバとフロントエンドサーバの間を,HTTPやXMLを利用して通信しています。このためシステム間の安定性や信頼性,可用性,セキュリティなど,さまざまな問題を抱えてしまう可能性があります。

 われわれのAligo M-1 Serverは,プラットフォームをJ2EEに限定することで,J2EEサーバと密に統合され,その上でアプリケーションを動作させることができるので,高い安定性と信頼性,パフォーマンスを実現することができるほか,セキュリティの面でも非常に強固です。

ZDNet 日本と米国で,モーバイル市場に違いがあると感じますか。

シーン 日本では,まずエンターテイメント分野で携帯電話が利用されるようになったので,多くのユーザーが携帯電話によりメールやインターネットコンテンツを利用しています。このユーザーを企業システムにアクセスさせるためにはどうすればいいかを考えているのが日本のモーバイル市場です。ただし,日本の企業では,レガシーシステムやWebシステムがばらばらに利用されていることが多くこれをまず統合させることが優先です。

 一方,米国市場では,SAPやピープルソフトなどのERPやSCMを導入し,企業システムの統合は済んでいますので,CRMという側面や,モーバイルによる業務の生産性向上,システム運用コストの削減の側面から,モーバイルを活用しようという動きが主流です。

 つまり,アプローチの仕方がまったく逆だと思います。しかしこれは,どちらが正しいというものではありません。

ZDNet モーバイルの活用により,どのように業務の生産性を向上したり,システム運用コストの削減が可能になるのでしょう。

カポネ 生産性の向上には,2つの見方があります。まず,Aligo M-1 Serverでは,Aligo M-1 Studioを利用して,ウィザード形式で簡単にJavaアプリケーションを構築することが可能です。ここで構築されたアプリケーションは,PC上のWebブラウザはもちろん,携帯電話やPDAなど,あらゆるデバイスで利用できるのです。

 一般的なシステムでは,デバイスに合わせてアプリケーションを複数作る必要があります。これは,システムの生産性向上に大きく貢献できると思います。また,あらゆる携帯端末から利用できるので,いつでもどこでも仕事を済ませることが可能なので,業務の生産性も向上できるといえるでしょう。

「1度書けばすべてのデバイスで動く」のが,Aligo M-1 Serverの最大の特徴です。

 コスト面では,アプリケーションを複数作る必要が無いことや,既存のJ2EEアプリケーションをそのまま利用できることからシステム開発コストが削減できます。また,社員が今持っている携帯デバイスをそのまま利用できるので,新たにシステムに合わせたデバイスを購入する必要がありません。

 われわれの顧客の1つであるテレコム業界向けに人材派遣を行っているシーディーアイでは,Aligo M-1 Serverを導入することで300%の費用対効果(ROI)を実現しています。

関連記事

▼テクマトリックスが米アリゴと提携,J2EEモーバイルサーバ「Aligo M-1 Server」の国内販売権を取得

関連リンク

▼テクマトリックス

▼アリゴ

[山下竜大 ,ITmedia]