Linux Column:「もっとLinuxセキュリティ情報を……」
【国内記事】 | 2002.01.22 |
前回,クライアントOSのメンテナンス性についてWindowsとLinuxで比べて書いたが,それに関して読者の方からメールをいただいた(1月16日のコラム参照)。
その読者の方はVine Linuxを利用しており,Debian GNU/Linuxで利用されているaptを使ってメンテナンスしている,とのことだった。aptはDebianの強みの1つであり,メンテナンス性が非常に高いツールだ。
後発の割にはあまり使い勝手の良くないup2dateはもう少しaptの良いところも取り入れて欲しいものだ。そういった意味では「ナイスな意見」だったと言えるだろう。色々なツールが研鑚しあうのもまたユーザーとしての楽しみの1つだ。
さて先週は福岡,今週は大阪と,Linuxのセキュリティに関する入門セミナーを行ってきた。今週末の東京での開催で札幌から始まった4大都市でのセミナーは終了となるのだが,終える前に感じたことを少し紹介しておきたい。
今回のセミナーは,Red Hat Linuxをベースに内容を構成したのだが,やはりそれ以外のディストリビューションを利用している参加者もいる。そこで,解説の中では出来るだけどのディストリビューションを利用していても分かるようにと心がけていた。しかし,やはり全てを網羅するのは難しく,100%目的を達することができたとはいえないかもしれない。
まぁ,各ディストリビューションごとにオリジナルな設定ツールなどを準備していることは,それはそれで望ましいことなのかもしれないのだが……。
ただし,それはツールと,適切な情報がきちんと合わせて提供されていて初めて生きてくる部分もある。
単純にツールについての使用方法が提供されているだけでなく,もう少し大きな視点からの活用方法についての解説が欲しいと思うことが多い。実際,そのような解説が提供されていないから今回のセミナーの企画が成り立っている部分はあるし,まだまだセキュリティポリシーの策定から実際の設定方法への落とし込みを解説する情報が不足している。現在のブロードバンドの普及をはじめとするネットワーク状況と照らし合わせて考えると,ちょっと「お寒いもの」を感じざるを得ない。
ディストリビューションというのは,ただ単にソフトパッケージのセットだけを提供すればいいってものではないような気がするのだが……。
もっと頑張れ,ディストリビューションベンダー。
[宮原 徹 ,びぎねっと]