Windowsで基幹システム? まずマイクロソフト「ECL」へ

【国内記事】2002.2.04

 マイクロソフトは,Windows 2000および.Net Enterprise Serversベースの企業向けシステムを紹介するため,2000年の10月にEnterprise Computing Lab(ECL)を新宿オフィス11階に開設した。

 コンシューマーおよびエンタープライズ市場を問わず,あらゆるシステムやデバイスをインターネットでつなごうという.Net構想。特に,エンタープライズへの意気込みは強い。企業の基幹システムでWindowsが採用されることを目指し,ソフトウェア企業である同社は,顧客にWindowsシステムのメリットを目に見える形で伝えるためにECLをオープンしたわけだ。

 260平方メートルの面積に,負荷分散など具体的な機能を紹介するデモルーム,セミナールームが設置され,またサーバルームにはWindowsサーバで構成されたマシンが所狭しと並ぶ。

 見学者は,さまざまば機能がWindowsによってどのように実現されているかを見ることができる。また,数多くのハードウェアメーカーの製品が利用されているため,ハードの比較も可能になる。

 ECLが受け入れ可能な訪問企業数は,1日約2〜3社。そのなかで,非営業日を含めたECLへの平均来訪企業数は1日1.5社。営業日ベースならおよそ2社という稼動状況は,堅調な数字と考えていい。

Windows 2000 Data Center Serverのスタートメニュー。よく考えると,普通お目にかかる機会は滅多にない。億単位にもなるシステムもUIはPC版Windowsと同じだ

 ガラス張りのサーバルームの中で一際目立つのは,日本ユニシスの32CPUサーバ「ES7000」の2ラック構成だ。Webサーバ,アプリケーションサーバ,データベースの3階層モデルに,共有ディスクも併せたスケールアウトモデル。

 ES7000はWindows 2000 Data Center Server(Windows 2000 DCS)をベースとしている。同製品は,きょう体内を8つまでの独立したパーティションに区切るパーティショニング機能を持っており,データベースなどアプリケーションごとに複数のサーバで構成していたシステムもES7000 1台に統合することが可能になる。

 また,パーティション間でのデータ転送も共有メモリ経由で可能であるため,TCP/IP経由よりもずっと高速でデータを転送できる。このため,各機能ごとにサーバを立てるよりも,システム全体として,軽快にデータを連携できる高機能なシステムに仕上げることができる。

 さらに,さまざまアプリケーションを1サーバで集中管理できることによって,人件費の抑制や電源管理コストの低減など,TCO削減にもつなげることができるという。

 マイクロソフトは現在,Windows 2000 Serverの安定性を武器に,金融機関など特にミッションクリティカルな分野での基幹システム構築にも踏み込もうとしている。

 その中で,メインフレームをコンセプトとしてつくられているES7000は,一般に「メインフレームの後継プラットフォーム」として有力と言われるUNIXサーバに対抗する,切り札的な製品となっている。

迫力あるES7000の2ラック構成

 一方,システム見学で最初に目にするのが,Windows 2000 Advanced Serverベース,ストラタステクノロジーの「ftServer 5200」だ。同システムの特徴は,プロセッサやI/O,PCIバス,ストレージまですべてのハードウェアコンポーネントが2重化などによって冗長性を持っていることだ。

 PentiumIII Xeon 750MHz×2のプロセッサ,メモリ,電源を搭載するCPUボードが,2重化されており,単一障害ポイントは存在しない。1つのCPUボードが電源を含めてつぶれるようなハードウェア障害が発生しても,フェイルオーバーによって,もう1つのCPUボードが処理を継続する無停止システムを構築している。

電源が落ちても止まらない「ftServer 5200」システム

前のページ1 2次のページ

[怒賀新也 ,ITmedia]