Windowsで基幹システム? まずマイクロソフト「ECL」へ(2)

【国内記事】2002.2.04

テロに屈しないシステムも

 昨年の9月11日にニューヨークで起きた同時多発テロをきっかけに,サーバにトラブルが発生した場合に,物理的な遠隔地でスタンバイしているサーバにフェールオーバーするといった仕組みも要求されるようになってきている。ECLには,ヒューレット・パッカードのサーバマシン「HP LH 3000r/6000r」2台が設置されている。

 現状では設定されていないが,この2台を利用すれば,遠隔地のサーバへ瞬時にサービスを切り替えるようなハードウェア構成も可能になるという。

左がメインのサーバ,右が遠隔地への設置を想定してスタンバイするマシンというイメージになるだろう

 実装のためには,まず,2つのサーバを,専用線によるWAN(Wide Area Network )でつなげる必要がある。メインサーバは常時データベースの更新情報を,スタンバイサーバに対して投げる。メインサーバの稼動ログは,1分ごとあるいは,10分ごとなどの設定に基づき,SQL Server Enterprise Managerのログ配布モニターによって吐き出される。

 もしメインサーバに障害が発生してサービスが停止した場合,離れた場所にあるもう1台が,常時受け付けているログを見てサービスを引き継ぐ。このため,電源を含めて,メインサーバが完全に破壊されたとしても,サービスが停止しない。ただし,スタンバイサーバによるサービス再開のためには,人が手でコマンドを打ち込む必要があるという。

 このとき,メインサーバに障害が起こったことを通知するためのサーバ監視機能を,スタンバイサーバもしくは,第3の別サーバに実装することも可能という。

多彩なデモ環境

 ユーザーが実際に利用することを想定したデモンストレーションを,ECLは6つのメニューを用意している。

 メニューは,2000台のクライアントでの大規模トランザクション処理を行う「スケーラビリティ」のデモや,データベースやアプリケーション,Webサーバなどの障害時におけるサービス継続を紹介する「アベイラビリティ」のデモ,SAP R/3での負荷,運用を紹介する「R/3 on SQL」,「ユニファイドメッセージング」「大規模データウェアハウス」「スナップショットバックアップ」「ロゼッタネットソリューション」など。

 この中の,ロゼッタネットは,情報機器や電子部品,半導体などのハイテク企業が参加して,企業間取引の標準を開発し,普及を推進する任意団体を指す。同社のロゼッタネットソリューションでは,.Net Enterprise Serversの1つであるBizTalk Server 2000,およびBizTalk Accelerator for Rosetta netを利用する。(関連記事参照)

 BizTalk Accelerator for Rosetta netは,BizTalk Server 2000を基本的な機能をベースに,ロゼッタネットに対応するための製品だ。特徴としては,PIPの容易な開発,RNIF1.1準拠,基幹系システムとの連携が挙げられる。このデモでは,SAP/R3と連携している。

 このシステムにより,XMLを介して,異なるシステムが稼動する企業間でもリアルタイムなデータ通信が実現する。

 例えば,バイヤーがサプライヤーにパソコンの部品を発注する場合,ロゼッタネットのPIPを利用して,まず価格と数量の照会をバイヤーがサプライヤーに対して要求する。サプライヤーからの回答を基に,サプライヤーに発注をかける。このプロセスをBizTalk Server 2000は自動化している。そのため,バイヤーは,品切れや在庫過多のリスクを小さくすることができるわけだ。

 逆に言えば,販売機会の最大化,在庫水準の適正化,オペレーションの自動化による人件費を含めたTCOの低減など,多くのメリットを享受できる。

ロゼッタネットのデモで,サプライヤー側の画面。バイヤーからの注文を受け,受注している。まだバイヤーに返信はしていない

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▼マイクロソフトがロゼッタネット対応のBizTalk Serverを発表,B2Bにさらなる注力

関連リンク

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[怒賀新也 ,ITmedia]