Case Study：地元の人が地元の言葉で情報交換できる「とよおかむらネット」（2）
| 【国内記事】 | 2002.2.08 |
この豊岡村役場のシステム構築をサポートしたのは，日本全国に営業所を持つシステムインテグレータ（SI）である日本事務器の浜松営業所だ。同社は，豊岡村役場の情報管理係が開設されたときから，さまざまなシステム化に対するサポートを行っているという。現在，ネットワークの運用管理をはじめ，システム全般の保守管理，行政システムが稼動しているオフコンのSEサポートなど，広範に及ぶシステムの開発およびサポートを行っている。
今回のインターネット構築においても，基盤となるネットワークの構築やNotes/Dominoの導入などをサポートしたという。また，ネットワーク連携やNotes/Dominoのインターネット活用などのノウハウも提供している。
日本事務器がウイルス対策も
日本事務器ではまた，ウイルス対策ベンダーであるトレンドマイクロが提供するウイルス対策アウトソーシングサービス「e-Doctorサービス」を提供しており，同サービスも豊岡村役場のシステムに採用されている。
当初は，庁内のサーバとクライアントのすべてにウイルス対策ソフトを導入していたが，サーバやクライアントの数が増えるにつれ，導入されているすべてのウイルス対策ソフトのパターンファイルやウイルス検索エンジンを，常に最新の状態に保つことが難しくなり，アウトソーシングすることに決めたという。
「人手があれば，自分たちですべて対応した方が安心だが，さすがにすべてを自分たちでこなすのは不可能。どこまでを自分たちでサポートし，どこまでを外部に委託するかの切り分けは重要になる」（名倉氏）
現在，庁内のネットワークにつながるクライアントPCは145台を超えている。そのほかにもスタンドアロンの端末などがあり，それらを含めると200台近いクライアントが庁内に存在しているという。
また，同じネットワーク上に行政内部のシステムと外部からアクセス可能なシステムが共存しているために，外部から内部システムに対する不正アクセスができないような工夫も必要だった。ただ，基幹となる事務処理は，オフコンをベースに構築され，稼動しているので基本的にはPCからのアクセスを遮断することが可能になっている。
「個人情報なども数多く蓄積されているので，セキュリティには特に気を使っている」（名倉氏）
しかし，限られた予算の中でネットワーク化を進めているために，ネットワークの2重化まで予算を確保することができなかったのが現状だ。このため，障害が発生すると主要なシステムが利用できなくなってしまう可能性があるという問題も抱えている。
「100％安全なシステムを実現することは不可能だ。そのなかで，いかに安全なシステムを実現するか，また何か障害が発生したときにどのように対処すればよいかを明確にしておくことが重要だ」（名倉氏）
ただ，技術的な面だけでは解決できない問題も残っていた。例えば，鶴田村長には，「庁内だけでなく，村全体をネットワーク化したい」という希望があったという。しかし当時，ADSLサービスの対象外だった豊岡村では，すぐに村全体をネットワーク化することは不可能だった。
そこで豊岡村では，住民アンケートや要望書などでNTTに強く働きかけを行った結果，2002年3月よりフレッツADSLサービスの提供が開始されることになったという。これにより，インターネットを利用した住民との情報交流や電子自治体に向けた動きがさらに活発化してくることが期待されている。
「あとは，どこのシステムでも同じだが，職員のリテラシーが問題になる」（名倉氏）
とよおかむらネットの今後
1つの自治体として，情報化システムの整備ができたので，今後はいかにシステムの精度を上げていくか，いかに運用していくかが最大のポイントになる。2003年には，国をあげての電子自治体化も予定されており，全国の行政をつなぐネットワークを構築する計画になっているという。
「電子自治体に向けた準備は既に整った。今後は，職員も含め，電子化に対応できる体制作りが必要だと考えている」（名倉氏）
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企業名：豊岡村役場 所在地：静岡県磐田郡 ニーズ：インターネットの活用により，住民サービスの向上と行政事務の効率化を図る。 ソリューション：Notes/Dominoを利用して使いやすい仕組みを実現する。e-Doctorサービスを利用することでウイルス対策をアウトソースする。 今後の予定：電子自治体に向けた準備と，職員も含めた電子化に対応できる体制作り。
ToolBox NEC Express 5800，Lotus Notes/Domino，e-Doctorサービス，など |
関連リンク
[山下竜大 ，ITmedia]
