富士山噴火に備える? ベリタスとマイクロソフトがバックアップ製品を紹介

【国内記事】2002.3.06

 ベリタスソストウェアとマイクロソフトは3月6日,「ITリスクマネジメントセミナー2002」を都内のホテルで開催した。災害に備えてデータをバックアップしておき,システムの停止リスクを回避する「ディザスターリカバリー」に関する製品やサービスが紹介された。システムバックアップへのニーズは,2001年9月11日の米国同時多発テロや,日本では1997年の阪神大震災を教訓に注目を浴びた。最近では東海大地震や,富士山噴火の予兆があるといった話題もよく耳にする中で,災害時に正確で素早いシステム復旧を行うことが,企業存続の命運を分けることを来場者に伝える内容になった。

 ベリタスはプレゼンテーションで,「ディザスタの被害を受けた企業の5分の2が5年以内に破産する」とするガートナーの提言を紹介した。倒壊した世界貿易センタービル(WTC)北塔48階に入居していた第一勧業銀行ニューヨーク支店では,1993年に起きた爆破テロをきっかけに,マンハッタン対岸のニュージャージー州にバックアップ施設を備えていたという。

 ビルの1フロアに,机と電話,PC100セットを設置して,年間コストは30万ドル。銀行システムが停止した場合,1日3000件の決済,金額で100〜200億ドルというビジネスインパクトを試算していた同社にとって,結局,この投資が生きることになった。さらに,同社は第3のバックアップ施設も用意していたというのは驚きだ。

 一方,マイクロソフトは,Windows 2000 ServerをベースにしたSQL Serverのバックアップ機能についてアピールしている。本番サーバとスタンバイサーバを,アクティブ/アクティブで稼動させているケースでは,バックアップによるクラスタリングは次のようになる。

 本番サーバは,WANなどを利用して,トランザクションログをスタンバイサーバにファイル転送する。これはSQL Server 2000の標準機能「ログシッピング」で行うもので,スタンバイサーバを本番サーバとほぼ同じ状態にして稼動することができる。そして,本番サーバがクラッシュした場合は,スタンバイサーバが本番サーバとしてフェールオーバーし,サービスを引き継ぐことになる。

 また,サーバ資産活用のため,通常は両サーバを並行して稼動させ,障害が発生した場合に限って,片方のサーバにフェールオーバーしてサービスを継続する形式のクラスタリングも可能。ちなみに,ログシッピングで設定できるスタンバイサーバへのログ転送の間隔は,最少で1分間となっている。

 なお,この日は,レドモンドの米マイクロソフト本社におけるデータベースサーバのバックアップが紹介されている。同社の本稼動サーバ(SQL Server)は,30Km離れたデータセンターに10分ごとにログを転送している。このデータセンターでは,電源供給も本社とは異なる地域の電力会社が選ばれている。

 この日講演したマイクロソフトのシステムエンジニアリング本部,佐藤威氏は,「データ転送を1分ごとにすれば,ネットワークの負荷,コストともに高くなる」とする。システムの要件に合わせ,止まってもいい時間が1分なのか,1時間,または半日なのかという判断と,運用コストを考慮してシステムを構成すればいいという。現在は800Gバイトのデータベースを持つマイクロソフト自身は,「1時間以内の完全復旧シナリオ」を想定しているという。

 なお,同社は,レドモンドの本社から車で15分ほどの場所に,テープバックアップ用のセンターも設置している。経営資産としてのデータベースを死守する体制になっているわけだ。

 一方,SQL ServerとExchange Serverの検証プロジェクトを調布のマイクロソフトR&Dで共同して行っているベリタスは,バックアップソフトウェアの世界的な大手企業だ。

 同社の「Backup Exec for Windows NT/2000」は,マイクロソフトのGold Certifiedロゴを取得している製品。Windows対応のBackup Execは,Windows 2000 Datacenter Serverに対応するハイエンドモデルから,マイクロソフトのSmall Business Server向けのローエンドのものまで3種類が用意されている。

 また,UNIXとWindowsの混在サーバ環境向けには,「NetBackup DataCenter」「NetBackup Business Server」が用意されている。

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[怒賀新也 ,ITmedia]