非Java開発者が容易にWebサービスを実現できる「BEA WebLogic Workshop」

【国内記事】2002.3.18

 日本BEAシステムズは3月15日,米BEAシステムズのプリンシパル・エバンジェリスト,マイケル・スミス氏の来日に伴い,同社の今後の戦略を解説する記者向けの説明会を開催した。同説明会の内容は2月24日〜27日の4日間,米国サンディエゴで開催された「BEA eWorld 2002」カンファレンスでの発表に基づくものとなっている。

 同カンファレンスでBEAは,単なる「アプリケーションサーバベンダー」ではなく,「アプリケーションインフラベンダー」に変革することを発表。その中核となるアプリケーションプラットフォーム製品「BEA WebLogic Platform 7.0」を,2002年第2四半期に米国でリリースすることを明らかにしている。

 この,BEA WebLogic Platform 7.0は,Webサービスと企業アプリケーション統合を実現することを目的としたアプリケーションプラットフォーム製品。同社のJ2EE完全準拠のアプリケーションサーバ製品の最新版である「BEA WebLogic Server 7.0」を中核に,企業インテグレーション環境を提供する「BEA WebLogic Integration 7.0」,企業ポータル環境を実現する「BEA WebLogic Portal 7.0」および開発コード「Cajun」(ケイジャン)と呼ばれていた「BEA WebLogic Workshop」の4製品で構成される。

 このプラットフォーム製品で,最も重要な位置付けにある製品が,同社が初めて提供するJava統合開発環境であるBEA WebLogic Workshopだ。この新しい製品は,マイクロソフトのVisual Basicに似た操作性により,エンタープライズクラスのWebサービスを容易に実現することが可能な開発環境と実行環境からなるフレームワークを提供してくれる。

 これまで,BEAのサーバ製品には定評があったが,統合開発環境が提供されていないことが弱点の1つという評価があったことも事実だ。BEA WebLogic Workshopの発表によりBEAは,この弱点を完全に克服することができそうだ。

 スミス氏は,「BEA WebLogic Workshopは,Java開発者はもちろんだが,VBやPowerBuilderなどツールを利用しているC/Sアプリ開発者やCOBOLなどを利用するレガシーシステムの開発者が容易にWebサービスを実現することを目的とした製品だ」と話す。

 BEA WebLogic Workshopは,BEAが2001年7月に買収した米クロスゲインの技術をベースに開発されたもの。クロスゲインは,マイクロソフトで開発ツールおよびXMLを担当していたアダム・ボスワース氏とレッド・チャベズ氏が2000年2月に設立したソフトウェア会社。さすがに元マイクロソフトの社員が開発した開発環境だけあって,BEA WebLogic Workshopのユーザーインタフェースは非常に優れている。

VBにそっくりのインタフェースを持つ「BEA WebLogic Workshop」のデザインビュー

 BEA WebLogic Workshopのデザインビューでは,画面の右側でリクエスト/レスポンスのタイプを設定し,右側でWebサービス化するバックエンドシステムのタイプを選択する。バックエンドシステムは,EJBコンポーネントやJDBC経由でアクセスしたデータなどをウイザード形式で連携できる。すべての設定は,VBのような使い勝手で利用可能だ。

Webサービスの設定後,実行ボタンをクリックするとテスト画面が立ち上がる

 設定が終わると,ツールバー上の実行ボタンをクリックすることで,自動的に実行環境が生成され,テスト用の画面が立ち上がる。このとき,SOAPのサポートやWSDL,XMLの生成など,Webサービスに必要なすべてロジックが自動生成されるほか,出来上がった実行環境はWebLogic Server上へ自動的に配布される。

 テスト用の画面では,自動生成されたWSDLやXMLファイルを参照できるほか,さまざまなテストを行うことも可能だ。

 2002年の第2四半期に登場予定のファーストバージョンでは,既存のEJBコンポーネントを利用したWebサービスの実現のみおサポートとなる。しかし,2002年後半にリリース予定のバージョンでは,EJBやJSP,ポートレット,ワイヤレスアプリなどの作成も可能になる。またバックエンドの連携では,同社のTPモニター製品「BEA Tuxedo」やJ2EE CA(Connector Architecture)などのサポートも計画しているという。

「BEA WebLogic Workshopの提供により,多くの(レガシー)開発者がJ2EEベースのWebサービス環境に,容易に移行することが可能になる。また,製品の提供だけでなく,開発者に必要なさまざまな情報も提供する」(スミス氏)

 BEAでは,WebLogic開発者向けのポータルサイト「dev2dev」の開設を,BEA eWorld 2002カンファレンスで発表している。dev2devでは,WebLogic Serverを中核とした,Webアプリケーション開発に必要なさまざまな情報が提供されている。また,製品の使用版などをダウンロードすることも可能だ。dev2devには,約40万人のエンタープライズシステム開発者が既にユーザー登録しているという。

「早い時期に,100万人の登録ユーザーを実現したい」(スミス氏)

 現在,BEA WebLogic Workshopの英語版ベータもダウンロードすることができる。英語版ベータの対応プラットフォームは,Windows 200およSolarisとなる。

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▼BEA eWorld 2002レポート

関連リンク

▼日本BEAシステムズ

[山下竜大 ,ITmedia]