Interview:「ネットワールドはVMware製品の良き理解者」とするVMwareのCEO

【国内記事】2002.4.19

 ネットワールドが4月18日に開催した米VMwareの仮想化ソフトウェア製品と適応事例を紹介するセミナー「VMware Conference」に,米VMwareの社長兼CEO(最高経営責任者),ダイアン・グリーン氏と共同創設者兼チーフサイエンティスト,メンデル・ローゼンブラム博士が来日した。そこで,VMwareの仮想化コンピューティング戦略について両氏に話を聞いた。

米VMwareのダイアン・グリーンCEOとメンデル・ローゼンブラム博士(写真右)

ZDNet VMware製品は,市場でどのように利用されているのでしょう。

グリーン ワークステーション向け製品とサーバ向け製品の2つの利用方法があります。まず,ワークステーション向け製品ですが,主に分散化された複雑な環境で利用されています。例えば,複数のOSを利用している環境やテスト環境,技術的なサポート,トレーニングなどで利用されています。日本の最新の事例としては,東北電力がWindows環境のマイグレーションに利用しています。

 一方,サーバ向け製品ですが,データベースやアプリケーションサーバ,Webサーバなどを利用した3層構造のシステムで利用されてることが多い製品です。例えば,大手金融機関の520店舗に展開している事例もあります。また,サービスプロバイダーがホスティングサービスを行う場合に,顧客ごとの環境に併せ,段階的に実現していくことが可能です。iDCでは,1つのサーバの中で開発,テスト,本番環境を切り分けることができるので効率的なシステム構築が可能になります。

 また,VMware製品を利用することでTCOの削減も可能です。2つの効果的な分野がありますが,1つはハードウェアおよびソフトウェアのコストで,年間40〜50%のコスト削減が可能です。また,もう1つが運用,管理の分野で,年間70〜79%のコスト削減が可能になるという報告があります。なぜ,これほどのコスト削減が可能かといえば,VMwareを利用することで,システムの管理が容易になり,柔軟性を高めることができるからです。

ZDNet ワークステーション製品とサーバ製品では,どちらがより大きなビジネスを期待できるのでしょう。

グリーン ワークステーション製品は,既に3年の実績があります。ユーザー基盤も出来上がっており,ビジネスとして確立できたと思います。しかし,サーバ製品については出荷したばかりなので,これからのビジネスということになります。ただし今後は,サーバ製品のビジネスが急激に伸びていくと思います。現在,われわれの製品を利用している登録ユーザーは,既に1000万ユーザーを超えています。

ZDNet VMwareが登場したときには,LinuxとWindowsを共存できる製品として注目されましたが,現在ではWindows環境のマイグレーションの方によりフォーカスされているのでしょうか。

グリーン 確かに,VMwareの最大の特徴は,複数のOSを1つの環境で稼動させることができるということです。この機能は,今後もサポートしていくつもりです。ただ,現実に顧客のシステム環境を見た場合,その多くはWindows環境で構成されています。ここでは,さまざまなバージョンのWindowsが利用されており,これをどのように管理していくかということも企業にとっては大きな問題の1つです。このような問題を解決できることもVMwareの特徴の1つなのです。

 また,3層構造のサーバ環境を考えた場合,クライアントの多くはWindows環境であり,ミドルティアではLinux環境が利用され,バックエンドではメインフレームが稼動しているというシステムも数多く存在しています。このようなサーバ環境であっても,われわれの製品は仮想化することが可能なのです。

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[山下竜大 ,ITmedia]