Interview:「ネットワールドはVMware製品の良き理解者」とするVMwareのCEO(2)

【国内記事】2002.4.19

Windows 95のサポート終了が追い風に?

ZDNet 例えば,マイクロソフトが昨年12月いっぱいで,Windows 95を「非サポート対象フェーズ」に移行するという発表をしていますが,こうした状況もVMwareにとって追い風になっているのでしょうか。

グリーン はっきりとは分かりません。そういった要因もあるかもしれません。ただ,われわれの製品を利用することで,レガシーアプリケーションと新しいアプリケーションを共存させることができるというメリットがあることは確かです。

ZDNet 東北電力がWindows 95環境からWindows 2000環境に移行するために,VMwareを採用し,Windows 95アプリケーションを引き続き利用できるようにした事例は,まさにそれに当てはまりますね。

グリーン その通りです。

ZDNet 東北電力の事例は,1400ライセンスのVMwareを導入していますが,これは世界的に見てもかなり大規模な事例なのでしょうか。

グリーン 確かに大規模な展開の1つになります。大規模のシステム展開を実現することで,われわれの製品の品質向上につながりますので,VMwareにとっても非常に重要です。例えば,最新バージョンの3.1では,東北電力のシステム構築に必要な機能のすべてが搭載されています。

 東北電力のシステム構築に必要な機能を新バージョンに搭載するために,われわれの技術者も最大限の努力をしてくれました。また,ローカライズや仕様の確定,製品の検証など,ネットワールドがたいへん強力なサポートを行ってくれました。

 現在では,VMwareのすべての従業員が「東北電力」という(日本語の)会社名を覚えてしまいました(笑)。

ZDNet ネットワールドとは今後,どのようなビジネスを展開していく計画ですか。

グリーン ネットワールドは,VMware製品を理解してくれています。さらに日本市場は,われわれにとっても重要な市場であり,われわれの新しいサーバ製品をより深く理解してもらためのマーケティング活動もネットワールドは展開してくれています。今回のカンファレンスの開催も両社の良好な関係を表す1つといえるでしょう。

 今後,日本市場では,特にサーバ製品の販売が拡大することが予想されます。そのためにもネットワールドとは,今後もより強力なパートナー関係を築いていきたいと思っています。

高い信頼性を低価格で実現できるサーバ製品

ZDNet サーバ製品で,仮想化クラスタを実現することは,物理的なクラスタリングに比べどのような優位性があるのでしょう。

ローゼンブラム 例えば,VMware上でプライマリー環境とバックアップ環境を実現することで,1台のサーバでより可用性,信頼性の高いシステム構築が可能になります。例えば,プライマリー環境がダウンしてしまっても,バックアップ環境に処理を引き継ぐことが可能です。

 また,この方法を利用することで,同じ仮想化環境を実現した複数のサーバを連携することも可能です。これによりより信頼性が高くなるだけでなく,拡張性や柔軟性にも優れたシステム構築が可能です。

ZDNet 1台のサーバ上で,仮想化クラスタを実現できても,サーバそのものに障害が発生した場合には役に立たないのではないですか。

ローゼンブラム ハードウェアの障害は,VMwareにより提供される機能とは全くの別物と考えなければいけません。どんなに物理的なクラスタリングをしても,すべてのサーバがダウンする可能性がないとは誰も言い切れません。

 例えば,2台のサーバしかなかったときに,4ノードのクラスタ環境が必要な場合,物理的なクラスタ環境を構築するためにはさらに2台のサーバを購入しなければなりません。しかし,VMwareを利用することで,2台のサーバだけで,4ノードのクラスと環境を実現することも可能です。

 つまり,拡張性,可用性,信頼性,柔軟性だけでなく,システム導入・運用コストも抑えてシステムを実現することが可能です。

ZDNet 基調講演で,コンピューティング環境全体を仮想化するのがゴールと話していましたが,それはいつごろになるのでしょう。

ローゼンブラム 私は,スタンフォード大学の教授とVMwareのチーフサイエンティストという2つの肩書きをもっています。大学での研究においても,VMwareというビジネスにおいても仮想化技術というものは重要であり,さまざまな環境で利用されると思いますが,これらの技術がどのように製品化され市場に投入されるかは,現時点でははっきりしていません。

 今後,どのように仮想化コンピューティングが拡大していくかは,スタンフォード大学での私の研究テーマでもあるのです。

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[山下竜大 ,ITmedia]