エンタープライズ:トピックス 2002年5月20日更新

サン,5社連合の「iForce統合セキュリティソリューション」を発表

 サン・マイクロシステムズ(サン)は5月20日,セキュリティベンダー4社とともに,「iForce統合セキュリティソリューション」を発表した。

 サンが推し進める「iForceイニシアチブ」は,企業のドットコム化を支援するプログラム,製品,サービス,および広範なソリューションをまとめたもの。これまでにも,ポータルインフラの構築やCRMにフォーカスしたソリューションが提供されてきた。

 iForce統合セキュリティソリューションは,その名のとおり,セキュリティに力点を置いたプログラムだ。米国では2月に発表されていたものだが,このたび国内での検証作業を完了,正式に発表された。同社はこのソリューションで,大規模エンタープライズのセキュリティ強化を目指す。

 このソリューションでは,Open Secure ShellやTCP Wrapperなど,セキュリティ強化に必要なツールを組み込んだSolarisに,チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ(チェック・ポイント)の「VPN-1/Firewall-1」,トレンドマイクロの「InterScan VirusWall」,トリップワイヤ・ジャパン(トリップワイヤ)の「Tripwire for Servers」「Tripwire for Routers and Switches」,リコース・テクノロジーズ(リコース)の「ManHunt」「ManTrap」を統合して提供する。

 これらセキュリティコンポーネントは,サンのラックマウント型サーバ「Netra X1」4台(最小構成)に格納された形で提供される。また,各コンポーネントが収集した情報は,Sun Blade 100上で動作する,チェック・ポイントのツールをベースとしたログ・ビューアを通じて,一元的に把握できるようになっている。

防止-検出-対応という3プロセスをカバー

 サンではこの発表に当たり,このソリューションは「単に各社の製品を寄せ集めたものではなく,セキュリティ実現に必要な“防止”“検出”“対応”という3つのプロセスを実現するものだ」と表現している。

 具体的には,強化版Soralisによってセキュリティ侵害の可能性を極力排除し,防止するほか,VPN-1/Firewall-1で各種不正アクセスを,InterScan VirusWallによってウイルスや悪意あるコンテンツを検出,ブロックする。また,これらでは検知しきれない攻撃や不正侵入については,ManHuntやTripwire for Serversで監視するという具合だ。さらに,活用方法が難しい部分はあるが,おとりとしてハニーポットのManTrapを配置することで,より高度な侵入分析も可能という。「今日の時点で最も進んだ,包括的なソリューションを提供できる」(同社)

 サンではこのソリューションをあらかじめ検証し,ハードウェアにインストールした形で提供していく。導入前の動作検証に要する時間とコストを削減し,ユーザーやシステムインテグレータの障壁を低くすることで,初年度1000社の導入を目指す。

 ユーザーによっては,ウイルス対策やファイアウォールなど,同ソリューションの内容の一部を導入しているケースも考えられるが,この場合は,その部分を追加購入することなく,うまく組み込む形で統合ソリューションを提供していく方針だ。

活動の中心は後方支援

 ただし,サンがユーザーに直接,このソリューションを販売するわけではない。あくまで活動の中心は後方支援活動にある。同社とパートナー4社は,iForce統合セキュリティソリューションの構築・販売を行うシステムインテグレータを募集,認定し,コンサルティングやトレーニング,サポートを通じてパートナーを支援していく。

 このためサンでは,同社の東京・用賀オフィス内の「iForce Ready Center Tokyo」に,同ソリューションの検証センターを設置し,各社の技術者などと協力して,各製品の統合・動作に関する検証とデモシステムの構築を完了。ここを拠点に,システムインテグレータに対する支援活動を展開していく。

 具体的には,大規模エンタープライズや金融機関などでは特に必要とされる,高速ネットワーク環境におけるクラスタリングや分散化,高い信頼性の確保といった分野の検証が行われる。合わせて,個々の製品のバージョンアップ時の稼働検証,技術情報の提供や,導入を容易にするインストールCDの作成などを行っていく。

 またiForce統合セキュリティソリューションは,PKIなどを除けば,セキュリティのほとんどの分野をカバーしているものの,現実には最大の問題となっている運用や保守,適切なアップデートといった部分までには踏み込んでいない。この部分は,同ソリューションの認定パートナーとなるシステムインテグレータが,独自のサービスを付け加えるなどして担うことになる。

 なおサンとチェック・ポイント,トリップワイヤ,トレンドマイクロ,リコースからなるiForce統合セキュリティソリューションアライアンスは,5月29日から30日にかけて赤坂プリンスホテルで開催される,「RSA Conference 2002 Japan」にゴールドスポンサーとして協賛。会場でデモシステムの出展を行う。

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関連リンク

▼サン・マイクロシステムズ(iForce統合セキュリティソリューション)

▼チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ

▼トレンドマイクロ

▼トリップワイヤ・ジャパン

▼リコース・テクノロジーズ

[高橋睦美 ,ITmedia]