| エンタープライズ:トピックス | 2002年5月27日更新 |
ダイナミックワークプレイスで62億ドルのコスト削減を実現したIBM
米IBMグローバルサービスのダイナミックワークプレイス担当グローバルエグゼクティブ,スコット・J・スミス氏はこう話す。
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| 「知識の交換は迅速な問題解決につながる」と米IBMグローバルサービスのスコット・J・スミス氏 |
IBMが提唱するダイナミックワークプレイスは,企業がIT技術により仕事のプロセスそのものを変革させることで,従業員の生産性を向上し,情報の管理コストを削減することを目的に設計されたソリューション。システム統合やコンテンツ管理,ポータルなどの基盤技術に加え,インテリジェントなディレクトリーやクラスルーム形式のコラボレーションなど,さまざまなセルフサービスツールやコンサルティングサービスなどにより構成され,迅速なe-ワークプレイスの実現を支援する。
IT技術を利用したナレッジマネージメント環境の実現は,生産性の向上とコスト削減が可能なソリューションとして,早くから注目され,推進されてきたが,今のところ大きな成果を挙げているとは言いがたい。その理由として,ナレッジマネージメントは,国や地域ごとの文化の違いだけでなく,企業間や担当者レベルにおいても「それぞれの仕事のやり方」というものを確立していることが多く,これをナレッジとしてまとめるだけの牽引役となる決め手がなかったためだ。
「20世紀は,プロセス管理の時代ということができるが,このプロセス管理で最もコストがかかるのが例外処理だった。この例外処理こそがナレッジマネージメントと言える」(スミス氏)
IBM社内でのプロトタイプが大きな成果に……
IBMでは1995年に,プロセス管理の一環として,例外処理用に社内に点在していた8000システムに及ぶネットワークにつながれていないイントラネットシステムの統合をスタートした。このイントラネットの統合でポイントになったのが,パーソナライズとポータル化だという。スミス氏は,「仕事を効率化させるには,社員にフォーカスし,単一のポータルからパーソナル化された情報を取り出せる仕組みの実現が必要」と言う。
このように社内に点在するナレッジを統合することで,IBMでは今までに62億ドルのコスト削減に成功した。「これは予測できる成果だった」と同氏。さらに予測できなかった成果として,構築したナレッジマネージメントシステムが,IBM社内で今や最も利用される情報源になったことという。
中でも効果的だったのが,e-ラーニングの仕組みと人事情報のセルフサービス機能だったと同氏。IBMのe-ラーニングシステムは,「Mindspan」ソリューションとしても既に多くの顧客企業に導入された実績を持っている。IBMでは現在,社員教育の40%がオンライン教育に移行されており,昨年だけで3億7000万ドルのコスト削減を実現したという。
また,人事情報のセルフサービス機能は,「エキスパート・エンプロイー・ディレクトリ」と呼ばれる仕組みと,インスタント・メッセージ(IM)機能を組み合わせることで実現。これにより,社員は必要とする情報がどこにあるか,だれが持っているかを迅速に把握することができ,従来の40%のコスト削減が実現したとしている。
社内ではイエローページ(職業別電話帳)を(IBMカラーで)もじった「ブルーページ」と呼ばれているエキスパート・エンプロイー・ディレクトリは,組織全体を容易に把握できる構成となっており,社員の名前や電話番号,メールアドレスなどの基本情報だけでなく,現在どのプロジェクトに関わっているか,どんなスペシャリストなのかといった情報も登録されている。
ブルーページには,IBMの全社員32万人のうち22万人の情報がパーソナライズされており,1日当たり2000万ヒットの利用があるという。
一方のIM機能は,1日に100万件以上が利用されている。電話やボイスメッセージでは,なかなか捕まえることができない相手でも,IMを利用することで,社内にいても外出中であっても,現在どのようなステータスにあるかが一目で把握できるようになったとしている。
「エキスパートエンジンにより最適な担当者を見つけ出し,IMでコミュニケーションすることで,迅速な問題解決が可能になった」(スミス氏)
今後,IBMでは,このダイナミックワークプレイスを,業種・業態別のソリューションとして展開していく計画だ。スミス氏は,「IBMには,さまざまなツール製品や業種別ソリューションが存在している。これをいかに組み合わせて提供するのが最適なのかを,さまざまな分野のパートナーとともに確立していきたい」と言う。
「先端的なユーザーにとって,情報と人は大事な資産。情報と人を組み合わせ“ナレッジ”とすることで,リスクを分散し,顧客満足度を向上させることができる。また,製品のライフサイクルを管理しながらコラボレーティブなデザイン環境も実現することが可能。企業にとって大きな競争優位性を確立できる」(スミス氏)
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[山下竜大 ,ITmedia]

