| エンタープライズ:トピックス | 2002年6月03日更新 |
Analysis:企業ポータル導入の機は熟した
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ポータルという言葉は、Yahoo!などに代表されるインターネットポータルや企業間連携で使用されるB2Bポータルという文脈で使用されることもあるが、現在、特に注目が集まり始めているのがエンタープライズポータル、すなわち、企業内の多様なアプリケーションの表玄関として機能するポータルであり、いわばB2Eポータルである。エンタープライズポータルは、EIP(企業情報ポータル)と呼ばれることもある。
ガートナーは1998年よりEIP市場の調査を行っている。ソフトウェアライセンス収益の観点から見た2002年の世界市場規模をおよそ12億ドルと推定しており、2005年には18億ドルの規模にまで成長すると予測している。決して爆発的ではないが、堅実な成長を示すと予測しているのである。もちろん、EIP実装のためのサービスビジネスも含めればEIP全体としての市場規模はこの2倍以上になると推定される。
EIPの最も初期の形態はイントラネットのアプリケーション群を呼び出すための固定的メニューとして機能するWebサイトであった。ガートナーは、このようなWebサイトをEIPの先駆的存在として第0世代のポータルと呼んでいる。
このようなメニューページにWebコンテンツ管理、サーチ、パーソナリゼーション、シングル・サイン・オンなど、今日のポータルにおいて必須とされる機能が追加されたことで、ポータルはユーザーにとって重要な投資案件となり始めた。ガートナーは、この段階を第1世代のポータルと呼んでいる。
これに続く第2世代のポータルではエンタープライズアプリケーション的な機能が付け加えられ、基幹業務をポータルを介して使用する形態が一般化し始めた。現在は第2世代のポータルが普及し始めている段階に相当する。そして、今後数年内に一般化するであろう第3世代のポータルでは、ビジネスプロセス管理(BPM)の機能がポータルに取り込まれていくこととなる。つまり、業務を遂行するための補助としてポータルを使用するというよりも、ポータルを使用することそのものが業務の遂行になっていくわけである。
EIP市場には、従来からのポータル専業ベンダーに加えて、サーチエンジンやコラボレーションなどのポータル関連テクノロジーのベンダー、ミドルウェアベンダー、ビジネスインテリジェンスベンダー、そして、エンタープライズアプリケーションベンダーなどがフォーカスし始めている。これは、EIPの適用範囲拡大とユーザー企業における重要度の増大を考えれば当然の動きである。
しかし、ベンダーのEIP市場に対する熱意は高いが、最近、ガートナーが行った日本国内ユーザーに対するIT投資動向調査では、EIPに対する投資意欲は高いとは言えず、一部の先進的ユーザーの興味の対象にとどまっている傾向が見られる。今のところ、国内EIP市場はベンダー主導型であり、ユーザーがEIPの価値提案をまだ認識できていない段階にあるようだ。
しかし、この状況は今年後半から大きく変わって行き、日本国内においてもEIPが主流ユーザーにおける重要IT投資案件となっていく可能性が高いと予測される。なぜならば、EIPは経営環境が厳しい状況下でこそ効果を発揮するIT投資だからである。
現在の厳しい経営環境の中、ユーザー企業はハイリスクなIT投資や効果が見えにくいIT投資を行うことに躊躇している。EIPの導入は、アプリケーション基盤の全面的再構築ではなく、既存のIT資産を活かすことができる点、また、社員の生産性向上という直接的効果を出しやすい点でローリスク/ミディアム・リターン型の投資であり、現在の経営環境にマッチしている。
また、多大な費用と労力をかけてアプリケーションを導入したはよいが、ユーザーの利用率が上がらない点に悩んでいる企業は数多いであろう。EIPの採用は、パワーユーザー以外の一般的ユーザーにとってのIT活用の敷居を低くすることで、企業全体のITリテラシを高めることにも貢献できる。
それではユーザーは、EIPの採用においてどのような点に留意すべきであろうか?
EIPは敷居が比較的低いテクノロジーであるとは言え、単に導入して、ユーザーにさあ使ってくださいといっただけで普及する性質のものではない。まず、特定アプリケーションそして特定ユーザーグループをターゲットして十分な試行を行った上で、製品の最終的選択を行い、ユーザーの意見を聞くことで改善活動を行うとともに、段階的に適用範囲を広げていくべきであろう。このような段階的導入が容易な点もEIPがローリスク/ミディアムリターンの投資である理由の1つと言ってよいだろう。
関連トピックス
[栗原 潔,ガートナージャパン]

