エンタープライズ:トピックス 2002年6月10日更新

アジア初、成長著しい中国で「OracleWorld 北京」中国進出する日本企業やパートナーのサポート体制拡充へ

  世界で最もエキサイティングなマーケット、「中国」でのビジネス展開を視野に入れ、オラクルコーポレーションがその首都、北京で初めての大規模なカンファレンス「OracleWorld 北京」を開催する。同社の総帥、ラリー・エリソン会長兼CEOをはじめ、主だった幹部が大挙して北京を訪れ、キーノートを行う。

 同社はこれまでデータベースを中心とした「Oracle OpenWorld」と、E-Business Suite(EBS)の「Oracle AppsWorld」を日米欧で開催してきたが、6月11日の北京を皮切りにオラクルのシステム製品とEBS製品、およびソリューションを1つのメッセージとして伝える「OracleWorld」を新たにスタートさせる。

 米国と欧州では引き続きOracle AppsWorldが予定されているが、Oracle OpenWorldはすべてOracleWorldに引き継がれる。ちなみにコペンハーゲンでの開催が6月下旬に控えており、11月中旬には本拠地サンフランシスコでもOracleWorldが行われる。

 ほかの多くのベンダーがそうであるように、オラクルでも中国はアジア太平洋地域に属してきたが、OracleWorldの北京開催は、成長著しい中国市場が1つのマーケットセグメントとして爆発しつつあることを示している。

 アジア太平洋地域を統括する執行副社長のデレク・ウイリアムズ氏は、2010年には中国だけで1,000億円以上を売り上げるという目標を明らかにしている。ちなみに日本オラクルが2001年5月末に締めた平成13年度の売上高は約877億円。13億とも言われる人口や8年後ということを考えると、いささか少ない数字という印象だが、それだけ予測が難しいということだろう。

 2008年には北京オリンピックも控えており、「眠れる獅子」がひとたび動き出せば、巨大なマーケットへと爆発する。そんな潜在力を秘めた中国では、日本企業への対応が重要になってくるとオラクルでは考えている。

欠かせない現地でのサポート体制拡充

「これまでにも中国で日本企業をサポートしてきたが、すべて個別の対応だった。そこから学んだのは、インプリメントから運用まで日本国内と同じレベルでしっかりと支援できる体制を整えないと成功は難しいということだった」と話すのは、日本オラクルの村田崇治氏。

 同社ではこれまでアジア太平洋地域の拠点であるシンガポールに日本人のスタッフを1名常駐させていたが、6月からは村田氏を中国駐在とし、本腰を入れ始めた。

 ビジネスのグローバル化とITによる変革が進む中、地理的にも近い中国へのビジネス展開を検討する日本企業は多い。既にオラクルのERPを導入している日本企業が中国へ生産拠点を移す場合、現地工場の生産管理システムと本社のERPをつなぐニーズは高いとの読みだ。

 また村田氏は、「中国で日本企業をサポートするには、日本国内と同様、ビジネスパートナーとの協業関係も不可欠だ」と話す。富士通、日立、NEC、東芝といった国産ベンダーはもちろん、一部のシステムインテグレーターらまで、彼らの顧客が中国へビジネスを展開するのに伴い、そのサポートを迫られている。

 日本オラクルでは、OracleWorld 北京の会期中、「Japan Leaders Circle」と呼ばれる特別プログラムを実施する。オラクルチャイナのパートナーである中国企業を日本オラクルのパートナーらに紹介するセッションや、中国での先進事例を紹介する松下電器産業、松下電工やファーストリテイリングのセッション、中国で日本企業をサポートしてきた事例を紹介するヒューレット・パッカードやプライスウォーターハウスクーパースのセッションが予定されている。

 企業顧客、ビジネスパートナーとも関心が高く、Japan Leaders Circleへの参加者は100名に上るという。

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▼OracleWorld 北京レポート

[ITmedia]