エンタープライズ:トピックス 2002年6月13日更新

Japan Leaders Circle:サバイバルのためには「真のグローバルシステム」が不可欠とエリソンCEO

 世界で最もエキサイティングなマーケット、中国でのビジネス展開を視野に入れ、オラクルは北京で「Oracle World 北京 2002」を開催している。中国ビジネスを加速させたい製造業を中心に日本の顧客やパートナーらも100人以上が参加しており、2日目を迎えた6月13日には、「Japan Leaders Circle」プログラムが行われた。

 当初スケジュールにはなかったものの、会場となった北京市内のホテルにはラリー・エリソン会長兼CEOも姿を見せた。エリソン氏は、日本企業にも真のグローバルカンパニーになるべきだと訴えるとともに、日本オラクルとオラクル・チャイナがシームレスに連携し、顧客らのビジネスをサポートしていくことを約束した。

予定を変更し、日本の顧客の声を聞くエリソン氏

 オラクルには3年前まで、世界で79の電子メールシステムがあり、会計システムや顧客サポートシステムに至っては150カ国でそれぞれ異なるシステムが稼動していた。エリソン氏は「これがグローバルカンパニー?!」と日本の顧客らに問い掛けた。

 同社は、スケーラブルなOracle9iを基盤とし、30の言語、さまざまな通貨、そして国や地域によって異なる制度に対応しているOracle E-Business Suite 11i(Oracle EBS 11i)を使い、現在はテキサス州の大規模なデータセンターにシステムを集約している。

「1つの標準化されたコンピュータシステムを使い、1つのビジネスプロセスによって企業を動かしていくことによって得られるメリットは、単にITコストの節約だけではない。真のグローバルオペレーションが可能になった」とエリソン氏。

 日本の多くの製造業がローコストを求めて中国に生産拠点を展開しようとしている。また、Japan Leaders Circleでスピーチを行った松下電器産業のように既に中国各地に生産拠点を拡大している企業も、「中国事業戦略がグローバル事業の勝敗を決める」とし、経営資源を中国に集中させるという。

「オラクルも優れたローコストの技術者を雇用すべく、中国に開発センターを開設した。しかし、これはグローバルなシステムがなければ不可能だ」(エリソン氏)

 エリソン氏は北京を訪れる前に東京に立ち寄り、日本企業のトップらとランチミーティングしたという。かつてアムダールに務め、日本でも働いた経験のある彼は、日本企業の変化、グローバル化への取り組みには驚かされたと明かす。

「日本を代表するグローバルカンパニーのトップからは、英国にファイナンス部門を移すと聞かされた。マネーやビジネスに国境はない。かつて日本で働いたことのある私には驚きだったが、こうした動きは続くだろう」(エリソン氏)

 エリソン氏は、実際のビジネスの世界は変化を遂げていて、安いコストと高い品質を求め、今後は中国へ生産拠点を移す傾向に拍車がかかるとみる。むしろ、時代遅れのITシステムが迅速な事業展開の障壁になっているのではないかと指摘する。

「日本語も中国語もそして英語もサポートし、各国の税制に対応している真のグローバルシステムのOracle EBS 11iなら、効率的な生産拠点の移転を妨げるようなことはない」とエリソン氏。

 WTO加盟を受け、ビッグバンで目覚しい発展を遂げる中国を目の当たりにしながら、日本企業は生き残りを賭けて岐路に立っている。しかし、英国にファイナンス部門を移すことを日本企業のトップから聞かされた首相は、残念ながら何の興味も示さなかったという。日本でも指折りの経営者は、「われわれが本社を移すと言って初めて首相は驚くのかもしれない」と笑っていたという。

日本オラクルの新宅正明社長とエリソン氏

関連記事

▼アジア初、成長著しい中国で「OracleWorld 北京」中国進出する日本企業やパートナーのサポート体制拡充へ

[浅井英二 ,ITmedia]