エンタープライズ:トピックス | 2002年6月18日更新 |
「重要なのはストレージサービス」とファルコンストア
これらのストレージ資源を仮想化し、一元的に管理することでTCOを削減し、ストレージネットワーク基盤を構築するためのソフトウェアが、ファルコンストア・ジャパンの「IPStor」だ。
同社は6月18日、この最新バージョンとなる「IPStor V3.0」を発表した。クライアント(エージェント)サーバ型のアーキテクチャによって、機種やベンダー、プロトコルやOSの違いを吸収し、ネットワーク上のストレージをすべて一元的に管理するという基本機能は従来どおり。その上で、アベイラビリティや拡張性の向上をにらんだ新しい機能が幾つか追加された。
ただ、米ファルコンストアのアジアパシフィック地域セールス・マーケティング担当上級副社長のアレックス・ジャン氏は、このように釘をさしている。
「われわれは、ストレージの仮想化といった個別の機能を重視しているのではない。重要なのは(その上で実現される)ストレージサービスだ」(ジャン氏)。そしてこの点が、他社との最大の違いでもあるという。
災害復旧や速やかなバックアップ/リカバリを実現
その1つの例が、昨年の連続テロ事件以来注目を集めているディザスタリカバリ(災害復旧)である。「IPStorを利用すれば、あらゆるディスクからあらゆるディスクへと、それもFCやATM、DWDM、そして何より重要なことにIPネットワーク経由でリモートレプリケーションを行うことができる」(ジャン氏)。事実、IPStorを利用して、米国東海岸と西海岸の4800キロをまたいでリモートレプリケーションを行っている例があるという。
もう1つは、速やかなバックアップとリストアだ。これは新バージョンで追加された「TimeMark」「TimeView」や「スナップショットグループ」、それにサポート対象が拡張された「スナップショットエージェント」によって実現されたソリューションだ。なおスナップショットエージェントは、Oracleのほか、マイクロソフトのExchange、SQL Server、Lotus NotesやSybaseといった各データベースに対応している。
IPStorのコンソール画面 |
これら一連の機能を組み合わせることで、定期的にデータの状態を保存し、差分を保管することが可能となった。万一ファイルやデータに損失があった場合には、速やかに必要な時点へのリストアが可能だ。
「テープドライブを用いたバックアップは安価だが、作業に時間がかかりすぎていた。ディスクベースのニアラインバックアップによって、たとえデータがクラッシュしても、たった3分で必要などの時点にでもロードバックすることができる」(ジャン氏)
他にも、ストレージパスを二重化して冗長性を確保し、ダウンタイムを最小限に抑えるための「DynaPath エージェント」や、ハードウェア障害からデータを保護することを目的とした、異機種間の同期ミラーリングといった機能が実現された。
もう1つのポイントはセキュリティだ。「ディザスタリカバリやリモートレプリケーションにおいて、エンドツーエンドのセキュリティは非常に重要だ」とジャン氏も述べている。
そこで同社は、さまざまなアプリケーションサーバを不正アクセスから守る「IPStorSentry」を、今後3カ月以内にリリースする計画だ。これはファイアウォールや不正侵入検知システムの機能を提供し、データをハッキングから防御するという。
IPStor V3.0の価格は、Linux版は220万円から、Solaris版は440万円から。6月28日より代理店を通じて出荷を開始するほか、富士通、アドテックスといったパートナーを通じてアプライアンスの形でも提供する。既にNECが、ExpressサーバにIPStor V3.0を搭載した「iStorage FS110G」(仮称)を8月より出荷することを明らかにしている。
さらに「顧客のニーズがあればいつでも、カスタマイズデザインに応じる。IPネットワーク経由でリモートブートが可能なブレードサーバ用の特別モデルも、要望があれば提供できる」(ジャン氏)という。
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[高橋睦美 ,ITmedia]