エンタープライズ:トピックス | 2002年6月26日更新 |
「通信機器の分野でもエコシステムは広まる」、インテルがモジュラー型通信サーバ
かつてコンピュータの世界で、クローズドなメインフレームからオープンなPCへの移行が起きたのと同じように、通信機器の世界でもまた、カスタム仕様の機器から、標準に基づいたオープンアーキテクチャへのシフトが進むだろう――これがインテルのビジョンだ。
つまり、各ベンダーがプラットフォームからOS、アプリケーションまでをまかなう垂直市場から、オープンな標準に則ったビルディングブロックをニーズに沿って組み合わせる水平的なエコシステムへのシフトが起こるというものだ。同社通信営業本部のプロダクトマネージャ、小山信寛氏は、「いつそれが起こるかを明言することはできないが、(業界は)確実にその方向に向かっている」と述べる。
「通信業界ではこれまで、OSにせよソフトウェアにせよ非オープンだったが、Linuxに代表されるオープンなスタンダードが、急速に浸透しつつある」(小山氏)
標準化活動への参加
インテルはこのビジョンに沿って、通信機器分野におけるさまざまな標準化団体に参加し、活動を進めている。
1つは、キャリアグレードの品質を備えたLinuxディストリビューションの開発を目指す、OSDL Carrier Grade Linuxワーキンググループだ。インテルでは、IAサーバとこの成果となるキャリアグレードLinuxを組み合わせることによって、コスト効率のよいエコシステムを提供できるとしている。
2つめは、Service Availability Forum。こちらは、ミドルウェア間で情報を受け渡しできるような標準のインタフェースと、リファレンスシステムの策定を目標に活動している。
「キャリアグレードのシステムには、エンタープライズ向けよりもはるかに高い可用性や信頼性などが要求される。インテルではさまざまなアプリケーションメーカーと話し合いながら、ソリューションの整備を進めている」(小山氏)
標準化に向けた活動はもう1つある。PICMG(PCI Industy Computer Manufacturors Group)によるCompactPCIだ。
一般には、ブレードサーバに関する話題で取り上げられることが多いCompactPCIだが、実質には、「通信業界向け」ブレードサーバの仕様というほうが適切だ。今年秋以降にまとまる予定のPICMG 3.0、すなわちAdvanced TCAには、OC-768をサポートするブレードインタフェースや最大4.5Tbpsのバックプレーン容量などが規格として盛り込まれる予定で、インテルはこの仕様そのものの策定のみならず、製品開発などのリファレンスとなる「AdcanvedTCA プラットフォーム・デザイン・ガイド」の執筆も進めているという。
PICMG 2.16準拠の新製品をリリース
こうした業界全体での取り組みと並行して、同社は6月25日、新たに通信事業者向けのモジュラー型通信サーバを国内でも発表した。いずれも、先月ドイツのミュンヘンで開催されたIntel Developer Forumで発表された製品だ。
「インテル ZT 5088 12U汎用パケット・スイッチ・プラットフォーム」と「同5085 リダンダント・ホスト・パケット・スイッチ・プラットフォーム」、それに両プラットフォームに搭載する「インテル ZT 5524 システム・マスター・ボード」の3製品だ。いずれも通信機器ベンダー向けにOEMの形で提供する。価格は個別見積もりだ。
3製品ともイーサネットに対応したPICMG 2.16規格に準拠している。またインテルでは、マイクロソフトのWindowsのほか、モンタビスタソフトウェアの「MontaVista Linux Carrier Grade Edition 2.1」や、ウインドリバーの組み込みLinuxなどの動作を確認しているということだ。
同社では、ソフトスイッチやVoIPゲートウェイ、あるいはストリーミングゲートウェイといった用途での採用を期待しているといい、既に欧州では、名前は出せないものの幾つか引き合いを受けているという。
なおこれら3製品は7月3日から5日にかけて幕張メッセで開催される「NetWorld+Interop 2002 Tokyo」の同社ブースでも紹介される。
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[高橋睦美 ,ITmedia]