エンタープライズ:ニュース 2002/07/02 21:18:00 更新


常時接続でユーザーは「さらに頻繁に検索を行うようになる」とオーバーチュア

「スポンサード・サーチ・サービス」と呼ばれる広告型/有料検索サービスを展開する米オーバーチュア・サービス(オーバーチュア)が、7月1日より国内での本格的な営業活動を開始した。

「スポンサード・サーチ・サービス」と呼ばれる広告型/有料検索サービスを展開する米オーバーチュア・サービス(オーバーチュア)が、7月1日より国内での本格的な営業活動を開始した。

 一般の検索サービスでは、入力されたキーワードと関連の深いWebサイトから順に表示される。これに対しオーバーチュアのサービスでは、広告主となる企業が検索キーワードに対して支払った金額に準じてリンクが表示される仕組みだ。この表示順位は基本的には入札――オークション形式によって決定される。さらに同社スタッフによる審査と編集・構成作業を経た上で、実際の検索結果として表示される。

 また、同社では直接検索サイトを運営していない。あくまで、ポータルサイトやISPを運営するパートナーのサイトに検索結果を提供する形式を取ることも特徴だ。

 つまり広告主は費用対効果を考えながら、自分で広告(リンク表示順位)の価格を決定することができ、パートナーは、情報を求める顧客のニーズに応え、トラフィックを増やすことができる。さらにコンシューマーも、品質の高い検索結果を得ることができ、3者がともに得をするシステムだという。

「(われわれのサービスによって)ただクリックしただけのユーザーを、有望な顧客へと変えることができる」と米オーバーチュア・サービスの社長兼CEO、テッド・マイゼル氏は語った。「スポンサード・サーチは、検索に基づくビジネスモデルを作り出した」(同氏)

コンシューマーにとってのメリットは?

 これだけならば、広告主にとってメリットはあっても、コンシューマーにとって本当に必要な情報が得られるかどうか、疑問が残る。単に落札価格だけで表示順が決まるのであれば、とにかく広告料金を多く出せる企業の露出だけが高まるからだ。

 しかしマイゼル氏はこう反論する。「オーバーチュアのサービスは、正しく使えばユーザーにとって適切な結果を表示できる。例えば何らかの製品を探しているときには、機械的に検索を行うシステムよりも、適切で、ユーザーがまさに求めている情報を表示させることができる」。

 日本法人の社長に就任した鈴木茂人氏も、「検索には、一般的な情報の検索と、製品やサービス情報の検索との2タイプがある。われわれはこのうち、製品やサービスの情報を収集しようとするユーザーに、質の高い検索結果を提供していく」と述べている。

 両氏は、同社が力を入れているリストのフィルタリングと表示内容の編集によって、さらに検索結果の質を高めることができるとした。

 マイゼル氏はさらに、「検索は、コンピュータを用いた機械的な検索と、編集ディレクトリ、そしてオーバーチュアが提供しているようなスポンサード・サーチと、3つのアプローチに分類できる。“これがベスト”という方式はなく、各社とも、検索のユーザーエクスペリエンスを向上させようと取り組んでいる」と語った。そしてだからこそ、検索エンジンで知られるGoogleも、最近ではスポンサード・サーチ方式を取り入れているのだと付け加えた。

「オーバーチュアはこのビジネスのパイオニアであり、リーダーだ。他社にはない入札というシステムを持っていることが最大の違いだ。また他社のようにブランド広告を中心にするわけでもない」(マイゼル氏)

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入札システムこそ同社にとっての鍵だとしたマイゼル氏と鈴木氏

 ちなみに同社は先日、システムの核となる入札ツールを刷新している。新システムでは拡張性を高めたほか、入札単位をより細かく設定できるようになり、自動ビッド/オーバービッド機能なども加わっているという。

「さらに頻繁に検索を行うようになる」

 オーバーチュアは北米のほか、イギリスおよびドイツでもサービスを開始しており、米ヤフー!やMSNのほか、英フリーサーブ、独Tオンラインといったパートナー企業を獲得済み。今年第3四半期には、フランスでもサービスを開始する予定だ。そして日本でのサービスは、それに続き、2003年第1四半期にスタートする見込みである。

 日本法人は既に、NTT-X(goo)およびライコスジャパン(Lycos Japan)とパートナー契約を締結しており、引き続き広告主やパートナーの拡大に向けて販売活動を進めていく。また、6万社に及ぶ広告主のうち、多くの中小規模企業が登録を行っている「オンライン・チャンネル」についても日本語化を図り、提供していく予定だ。同時に編集ガイドラインのローカライゼーション作業も進める。

「ブロードバンドの最大のインパクトは、常時接続環境になったこと。ユーザーは、ただのWebブラウジングではなく、仕事を片付けるといった何らかの目的を達成するためにインターネットを利用しており、さらに頻繁に検索を行うようになるだろう」(マイゼル氏)

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[高橋睦美,ITmedia]