エンタープライズ:コラム 2002/07/16 20:49:00 更新


Linux Column:「Zopeに注目せよ!」

最近、オープンソースで気になる「ヤツ」がいる。「Zope」だ。Zopeは、元々アメリカ海軍士官で教官だったポール・エベレット氏が開発したオープンソース。同氏は、視力の低下で飛行機に乗れなくなったのでやむなく転職。ある電子新聞の発行を容易にするためにZopeを開発したという。

 最近は「開発」と言えば「Webアプリケーションの開発」であることが至極当然のことにようになってきた気がする。一昔前はクライアント/サーバだったのに……だ。だから、誰もがWeb開発がしやすい言語やツールを探しているというところだ。

 現在の一番はやはりJavaだろう。今はアプリケーションサーバと言えばJavaが動くものという感じになってきているし、マーケットもにぎやかだ。その他には、ASPやPHPなどのスクリプト言語がローエンドの開発に使われているという感じだ。この辺りは商品ビジネスとしてはやや薄めの感じがするエリアだ。

 まぁ、そんな感じでマーケットの動向も、かなり落ち着いてきて新味のあるものはないかなという雰囲気も漂っていたが、少し前から気になる「ヤツ」がいた。それが「Zope」だ。

 残念ながら、Zopeについて筆者がここで講釈を垂れるほど詳しくはない。であるから、その辺りは「日本Zopeユーザ会」のWebサイトに譲るとして、先週、Zopeの開発元であるZopeの元CEO(最高経営責任者)で現在はCSO(Chief Strategy Officer)としてコミュニティをリードする役割を果たしているポール・エベレット氏と夕食を共にする機会があったので、その時のエピソードを紹介しようと思う。

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ポール・エベレット氏(写真左)と筆者

 ポール氏を囲むテーブルには約10名ほどのZope関係者とその他諸々の人々が集まって、それぞれ英語やら日本語やらで自己紹介を行った。当然、ポール氏も自己紹介を行ったのだが、その内容がなかなか面白い。同氏は、元々アメリカ海軍士官で、飛行機乗り(教官)だったそうだ。しかし視力の低下で飛行機に乗れなくなったのでほかの仕事を探した時にインターネットに出会ったそうだ。

 これが1990年ころのことというので、まだまだ一部の人しか使えなかったころだ。そこで彼は海軍で初めてのWebサーバ「www.navy.mil」を立ち上げたそうだ。まだインターネットがほとんど知られていなかったころだそうで、先見の明があったのだろう。その後退官し、紆余曲折を経て、ある電子新聞の発行を容易にするためにZopeを開発したそうだ。当初は当然クローズドソースだったのだが、エリック・レイモンド氏の話に感銘し、Zopeをオープンソース化してしまったという。

 そんな出自を持つZopeだけに、コンテンツ系のWebサイト構築にはかなり威力を発揮しそうなソフトウェアだ。アプリケーションサーバというよりはコンテンツサーバという感じである。現在は、とりあえず小規模から中規模のWebサイトでの利用が多いようだが、今後大規模システムの事例も出てくるよ、という話もしていた。

 ポテンシャルはかなりあると思うのだが、やはり企業に導入されるには先行事例が欠かせないところだけに大きな課題だが、そこがクリアされれば意外と普及も早いのではないだろうか。

 何か面白いものを探している向きには、今からZopeをいじってみることをお勧めする。新バージョンZope 3の開発も始まったとのことなので、それまでにZopeの基礎を覚えてみてはどうだろうか?

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[宮原 徹,びぎねっと]