エンタープライズ:ニュース 2002/07/24 04:33:00 更新


Keynote:「アダプティブソフトウェアアーキテクチャがストレージをシンプルに」

ベリタスソフトウェア(ベリタス)は7月23日、24日の2日間にわたり、都内のホテルにてユーザーカンファレンス「VERITAS VISION 2002 JAPAN」を開催している。初日の基調講演には、米ベリタスの社長兼CEO、ゲイリー・ブルーム氏が登場し、日本のユーザーに向けて「ストレージにまつわる複雑さをなくし、簡素化していくことが課題だ」と述べた。

 ベリタスソフトウェア(ベリタス)は7月23日、24日の2日間にわたり、都内のホテルにて、プライベートカンファレンス「VERITAS VISION 2002 Japan」を開催している。

 会場では、米国で4月末から5月にかけて行われた「VERITAS VISION 2002」の内容を反映した、最新のストレージ動向に関するセッションが行われている。中には日本国内のパートナーによるセミナーのほか、実際のシステム環境を模したデモを交えてのラボセッションなども含まれ、特徴あるプログラムとなっている。

 冒頭を飾る初日の基調講演には、米ベリタスの社長兼CEO、ゲイリー・ブルーム氏が登場した。同氏は日本のユーザーに向けて、「ストレージにまつわる複雑さをなくし、簡素化していくことが課題だ。ベリタスはそのためのツールを提供できる」と述べた。

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「複雑さこそが最大の課題」と述べたブルーム氏

 この半年ほど、ストレージ関連のイベントやセミナーで必ずといっていいほど取り上げられる話題が、米国で昨年9月11日に起きた連続テロ事件である。あの事件はIT業界、特にセキュリティとストレージという2つの分野に大きなインパクトを及ぼした。ストレージの観点からは、テロや天災など、不測の事態が起きてもビジネス継続を実現するためのディザスタリカバリが脚光を浴びている。

 ブルーム氏もまず、ディザスタリカバリに触れた。「ディザスタリカバリに対するニーズは高まっている。ヘテロジニアスなソフトウェア、ヘテロジニアスなハードウェアという環境の下で、データを保護していかなければならない」(同氏)

 だが、同氏が講演の中で引き合いに出した調査結果によると、顧客の60%がディザスタリカバリ計画プランを持たないか、持っていてもテストしていないという。つまり大半のデータは保護されていないということだ。

 なぜ、注目の割に、ディザスタリカバリを実行している比率がこれほど少ないのか。1つには予算上の制約があるだろう。だがブルーム氏は最大の課題を「データ保護を行う際の複雑さ」だという。

 オープンな企業システムには、さまざまなアプリケーションやデータベース、OS、ハードウェアやストレージシステムが混在しており、適切なテストや設定を行うだけでも一苦労だ。このため「ストレージの導入よりも、その管理にかかる人件費が非常に大きくなっている。結果として、ハードウェアの価格は下がっているのに、トータルコストは押し上げられている」とブルーム氏。

 解決策は、既存の資産を有効に活用しながら、効率的な運用を実現すること。そしてベリタスは、特定のアプリケーションやOS、デバイスに依存することなく、ヘテロジニアスな環境に対応できるストレージソフトウェアスイートを提供することで、それを手助けすると言う。もう特定のベンダー、特定の製品に依存する必要はない。

 既に同社は、バックアップやリカバリ、ストレージ管理といった多様な機能を、SolarisやWindows、HP-UXなどのプラットフォームで提供済みだ。今後はAIXやLinux向けの機能を拡充し、どのプラットフォームにおいても同等の機能を提供していくという。

 さらにブルーム氏は「大事なのは、CRM、ERP、データベースといったアプリケーションだ。ベリタスの“アダプティブソフトウェアアーキテクチャ”は、ストレージそのもののクラスタリングだけに終わるのではなく、アプリケーションのクラスタリング、アプリケーションのハイアベイラビリティを実現する」と語った。

 同氏はさらに、今後のストレージ市場における課題として、相互接続性や高い回復力の実現、効率性という3つの要素を指摘。これを実現するには、幅広い業界のサポートが欠かせないとも述べている。

 しかもブルーム氏によると、ストレージ市場における次の波は「ネットワークファブリックへの移行」だ。

「今はホストベースのストレージが主流だが、市場はネットワーク型ストレージへの移行期にある」(同氏)。そしてベリタスは、「VERITAS Powered Program」を通じて、ラプソディ、エミュレックス、そしてシスコシステムズといったパートナー企業と協力しながら、インテリジェンスを備えたコンポーネントを提供していくという。

 同氏は最後に、次のように繰り返して講演を締めくくった。

「重要なのは、ストレージを簡素化して効率性を高め、アプリケーションのアベイラビリティを高めていくことだ。そして我々は、そのための成功の鍵――アダプティプソフトウェアアーキテクチャ――を手にしている」(ブルーム氏)

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[高橋睦美,ITmedia]