エンタープライズ:ニュース 2002/08/01 23:24:00 更新


Follow Up:ジュニパーの新ルータは「日本市場にマッチする」

ジュニパーネットワークスは7月31日、ネットワークコア向けルータの新製品、「T320」を発表した。先に発表された「T640」がまさにハイエンド向けの製品だったのに対し、T320はミドルレンジのコアネットワークをターゲットにしている。

 ジュニパーネットワークス(ジュニパー)は7月31日、コアネットワーク向けルータの新製品「T320」を発表した。

 同社は今年4月、従来提供してきたMシリーズに続く第2弾のラインナップ「Tシリーズ」と、フラグシップ製品となる「T640」を発表している。

 Tシリーズは「成長率は鈍化したとはいえ、トラフィック量の成長自体は止まっていない。VoIPやレガシートラフィックのIPへの移行を受け、今後も帯域の需要は増加する」(同社日本・アジアマーケティングオペレーションズディレクターのアラン・ペティグルー氏)という見通しに立って発表されたもの。

 しかしT640は、そのあまりに高いスペックゆえ、アジア太平洋地域の通信事業者にとって、やや敷居が高い製品だったのも事実だ。「アジア太平洋地域のサービスプロバイダーの中には、M20などでコアネットワークを運用している事業者もある」(同氏)。

 これに対し、T320はミドルレンジをターゲットにしている。きょう体は、T640がハーフラックサイズであるのに対し、T320は1/3ラックサイズ。

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T640に比べ一回り小さくなったT320

 背面のSIB(スイッチインタフェースボード)を通じて複数のT640を結び、マルチテラビットクラスのスループットを実現する「マトリックス・テクノロジ」には対応しないが、その代わりに消費電力を2880ワットに下げ、低速インタフェースをサポートするなど、「中規模のPOP(ポイント・オブ・プレゼンス)向けであり、日本を含むアジア太平洋地域にマッチする製品になっている」(ペティグルー氏)。

事業者の投資を保護

 T320のスペックは、スループットが320Gbps、処理能力は385Mpps。北米での価格は、最小構成で15万ドルという。

 T640がサポートするインタフェースはOC-12以上となっていたが、T320ではOC-3やファストイーサネットをサポート。それでいて、10GbE(10ギガビットイーサネット)やOC-192について、最大16ポートまで収容が可能という。

 これらのPIC(物理インタフェースカード)は、Mシリーズ向けに提供されているものを利用できるし、T640へ移行させることもできる。「ネットワーク機器に対する投資コストの中でも最も大きいのは、インタフェースに要する費用。MシリーズとTシリーズでは、これを効率よく利用できる」(ペティグルー氏)。JUNOSというソフトウェア基盤も共通だ。

「競合するシスコシステムズの場合、最初のOC-48リリースで実現できたのは単純なフォワーディングのみで、提供できるサービスは限られていた。その後も新たなサービスを追加しようとするたびに追加投資を行わねばならず、しかもサービスを中断する必要があった」(同氏)

 これに対しジュニパーでは、MシリーズからTシリーズにかけてスムーズな移行パスを用意しているし、VoIPやMPLS、IP-VPN、IPv6といった新たなサービスをフルに提供できるという。

「われわれは、事業者の収益源となるMPLSやIPv6といった新しいサービスを、より早い速度で、より低い運用コストで提供できる」とペティグルー氏は強調した。

 なおジュニパーの米国本社は、プロバイダーエッジ向けルータを提供してきたユニスフィア・ネットワークスの買収作業を完了しているが、国内での具体的な体制作りはこれからという。

 だがこの買収によって、多少重なる部分はあるものの、ブロードバンド接続のアグリゲーション(集約)部からプロバイダーエッジにかけてをユニスフィアのERXシリーズが、エッジからコアにかけてをMシリーズが、そしてコアをTシリーズがカバーするという具合に、フルレンジのラインナップが実現できそうだという。

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[ITmedia]