エンタープライズ:ニュース 2002/08/06 12:15:00 更新


TechWave 2002開幕、幾つかの「隠し玉」を用意するサイベース

カリフォルニア州サンディエゴで8月6日、サイベースの年次カンファレンス「SYBASE TechWave 2002」が開幕する。e-ビジネスインフラストラクチャ、m-ビジネス、v-ビジネスの3つを経営の柱としてビジネスを展開したい同社は、今回のTechWaveで幾つかの「隠し玉」を用意しているという。

 しばしば「セプテンバー・イレブン」と呼ばれる2001年9月11日のテロから、米国経済はいまだに立ち直っていないようだ。全産業を覆い尽くす景気の落ち込みは、当然ながら、IT企業にも波及する。

 サイベースでも、景気回復はまだ先と見通しているようだ。米サイベースのナンバー2で、同社の社長を務めるマイケル・ビールマー氏は、次のように話す。

「私は、2002年半ばになれば、再びわれわれのビジネスが上向きになると信じていた。決裁権を持つ企業のITマネジャーが、経済状況を見て、これまで予算を使わないでいたためだ。しかし最近、彼らが予算を使い始めるのは2003年に入ってからかもしれないと考えるようになってきた……」

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来日時のビールマー氏。「社長に就任後、2カ月以内に日本にやってきた。サイベースが日本市場を重視していることの証明だ」

 あらゆるIT企業が収益確保に懸命になる中で、サイベースも不況に打ち勝とうとしている。ビールマー氏は、「サイベースは、横ばいながら売り上げを維持しているが、利益はこれまで以上に上げた。企業の効率性を高めるオペレーションの成果だ」と話している。

 そのサイベースは、e-ビジネスインフラストラクチャ、m-ビジネス(モーバイルビジネス)、v-ビジネス(バーチカル市場向けビジネス)の3つを今後の経営の柱と位置付け、それぞれの分野でナンバーワンになろうとしている。これは2年前のTechWaveで発表され、昨年にリニューアルしたメッセージだが、この3つをメインにビジネスを展開する戦略は、今後も変わらないという。

 ただ、その戦略には、複数の「味付け」が加わる。ビールマー氏は、既報のとおり、同社とピープルソフトとの協業が正式発表されるのに加え、「TechWaveでは幾つかの“サプライズ”を用意している」と話す。

「3つの市場で地位を確立するための戦略として、これまでのサイベースでは考えにくい、びっくりするような発表だ」(同氏)

 それがどのようなものになるのか。カリフォルニア州サンディエゴで8月6日に開幕を迎えるサイベースの年次カンファレンス、「SYBASE TechWave 2002」で、その詳細が明らかになる。

データベース市場では……

 5月にガートナーのデータクエスト部門が2001年のデータベース市場シェアで、IBMがオラクルから首位を奪い返したことを発表し、騒ぎになった。ここではオラクルとIBMの“プレスリリース合戦”には触れないが、その市場調査で、サイベースはわずか2.6%のシェアで4位となっていた。

 サイベースが注力する3つの分野で、データベースはe-ビジネスインフラに含まれる。金融業界に限れば高いシェアを持つ同社のデータベースだが、ここでもその存在感は希薄と言うしかない。

 とある米国のソフトウェア企業の幹部が来日した際、次ように話したことがある。

「当社のソフトウェアがサポートするデータベースは、市場にあるすべての製品。すなわち、OracleとDB2、そしてMicrosoft SQL Serverだ。サイベース? サイベースは日本でそんなに人気があるの?」

 かつては市場をリードし、マイクロソフトにもライセンスしたサイベースにとっては屈辱的だろうが、事実は事実。こうした声に同社がどのようにこたえるのかにも、注目してみたい。

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[井津元由比古,ITmedia]