エンタープライズ:ニュース 2002/08/21 21:00:00 更新


完成度高まるWindows .Net Server

マイクロソフトはWindows .Net ServerのRC1を紹介するプレス向けのセミナーを開催した。「Windows 2000 Serverとあまり変わらないのではないか」という声もあるが、セキュリティやパフォーマンスの強化や、.Net Frameworkを統合したWebサービスへの対応、Active Directoryの強化など、改善点は多岐に渡っている。

 マイクロソフトは8月20日から2日間、現在開発中のサーバOS「Windows .Net Server」のリリース候補版であるRC1について、プレス向けに紹介するセミナーを開催した。同CD-ROMも配布されている。セミナーでは、Windows .Net Serverで強化された機能として、サーバ統合を見据えた拡張性、安全なネットワークアクセスを含めたセキュリティ、より容易になったActive Directory、パフォーマンスの向上など改善点について触れられた。Windows 2000 Server以降、「確かに堅牢性が強化された」という評価がある一方、その割にはまだWindowsのサーバOSに対して懐疑的なイメージあることなども、同社は大きな課題として認識しているという。

 同社のWindowsサーバ製品部の高沢冬樹部長は、Windows .Net Serverの開発コンセプトについて「セキュリティ重視と使いやすさの向上」を挙げる。ユーザーからのフィードバックをよく理解して、ユーザーが新しい使い方をできるように促す技術を導入するという。

 同氏は、冒頭で挙げたもの以外の改善点として、複数のサーバを運用するためのマネジメント機能、ストレージ管理、システム管理者が高速なバックアップ作業をできるようにする「ボリュームシャドウコピー」、Terminal Services、Webサービスプラットフォームとしての.Net Frameworkとの統合などを挙げた。特に、Thinクライアントのプラットフォームで知られるTerminal Servicesは、同社が今後需要の増大を見込む分野。サーバ統合によるデータセンターの設置スペースの効率性向上という業界の流れもあり、サーバに集中的にコンピューティング処理をさせるTerminal Servicesに期待が集まるのも理解できる。

 サーバ統合については、Windows .Net Server自体に多くの取り組みがなされている。例えば、サーバマシンのCPUやメモリなどのリソースは、「Windows System Resource Manager(WSRM)」をアドオンすることで仮想化できる。また、「Side by Side DLLs」によって、複数のアプリケーションの共存が容易になるという。「止めない」システム構成としては、「Hot Add Memory」「Memory Mirroring」といった機能が搭載されている。さらに、スケーラビリティについては、8ノードクラスタリング、Multi-path I/O、NUMAのサポートなどが挙げられ、インテルがXeonに搭載したハイパースレディング機能についても、より高い効果が出るように設計していくという。

 一方、安全なモーバイルアクセス環境への対応としては、802.1xワイヤレスや、PKIサービス、標準ベースのVPNサービス、パスワードや証明書ベースのネットワークアクセスなどに取り組んでいる。また、ネットワークについては、IPv6に対応していることにも今後注目が集まりそうだ。

 .Net Serverファミリーは、「Windows .Net Daracenter Server」「Windows .Net Enterprise Server」「Windows .Net Standard Server」がラインアップされる。そして、今後は「Small Business Server」「Windows .Net Web Server」も同ファミリーに含まれるようになる。Small Business Serverを重視することは、同社が中小規模企業の市場開拓を意識していることが分かる。

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[怒賀新也,ITmedia]