エンタープライズ:ニュース 2002/08/22 20:28:00 更新


ボーランド、新しいDelphiとKylixでさらに「選択の自由」を

ボーランドが、新しいDelphiとKylixを9月末に出荷する。Delphiで.Netへの移行パスを提供し、KylixではLinux上のC/C++言語資産を生かすべく同言語をサポートした。アジア太平洋地域を統括するクイン副社長は、「選択の自由」を強調した。

 ボーランドは8月22日、Microsoft.Netへの移行パスを提供するRAD(Rapid Application Development)ツール、「Borland Delphi 7 Studio」日本語版と、C/C++言語にも対応したLinux向けRADツールの「Borland Kylix 3」日本語版を発表した。どちらも9月26日に出荷が開始される。

 来日したアジア太平洋地域担当副社長のジュリアン・クイン氏は、Webサービス市場に関するガートナーの予測を引き合いに出し、「J2EEと.Netはどちらも重要な役割を演じていく。特定のプラットフォームに縛られない、独立したパスを用意し、開発者らに“選択肢の自由”を提供するのがボーランドの使命だ」と話した。ちなみに米ボーランドソフトウェアは、9四半期連続で売り上げを伸ばしており、特にクイン氏の担当するアジア太平洋地域では38パーセントという高い成長を見せているという。

 今回発表されたDelphi 7 Studioは、Kylix 3(Delphi言語版)を同梱してLinuxとのクロスプラットフォーム開発が行えるほか、.Netフレームワークに対応すべくDelphi言語仕様を拡張し、Microsoft.Net CIL(Common Intermediate Language)コンパイラもプレビュー版ながら付属する。

 ボーランドでは、LinuxやMicrosoft.Netなど新しいプラットフォームが登場する中、開発者は既存の開発スキルと資産を生かしながら、これらに素早くできるとしている。

また、 Delphi 7 Studioでは、UDDIディレクトリサービスの閲覧とアプリケーションへのインポート機能が追加されるなど、最新のWebサービス仕様にも準拠している。

 このほか、サードパーティーツールの日本語版として、UMLベースのモデリングとリファクタリングの「ModelMaker」、レポート機能をアプリケーションに組み込む「Rave Reports Borland Edition」、ドラッグ&ドロップによるRADスタイルでWebアプリケーションが開発できる「IntraWeb」などが追加されている。

LinuxのC/C++資産を生かす

 やはりこの日に発表されたKylix 3は、これまでのDelphi言語に加え、C/C++言語のサポートが追加された。DelphiおよびC++Builderと互換性があるCLX(Component Library for Cross platform)を搭載しており、マルチプラットフォームに対応したネイティブアプリケーションが開発できる。ボーランドでは、Linuxにおいて既に蓄積されている豊富なC/C++言語資産を、生産性の高いKylix 3によって再利用でき、単にLinuxによる運用コストだけでなく、開発コストも大幅に削減できるとしている。

 ボーランドでは、こうしたRAD IDE(統合開発環境)だけでなく、「分析・デザイン」「構築」「テスト」「配布」「管理」といったソフトウェア開発のライフサイクル全体をカバーする製品を提供しており、開発者らがより開発生産性を高められるようにしている。

「1+1は2ではなく、3かそれ以上だ」とクイン氏は話す。

 なお、ボーランドでは、11月18日と19日、都内のホテルで「Borland Conference 2002 Tokyo」を開催する。

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関連リンク
▼ボーランド
▼Borland Conference 2002 Tokyo公式ホームページ

[浅井英二,ITmedia]