エンタープライズ:ニュース 2002/08/29 23:59:00 更新


完成度高まるWindows .Net Server〜ストレージ管理編[2]

Windows .Net Serverの新機能のうち、ストレージにフォーカスした2回目は、自動システム回復機能、SANのサポート、仮想ディスクサービスなどを紹介する。複数のサーバやストレージを抱える企業のシステム管理者は、新機能を利用することでどの程度負担を減らすことができるだろうか。

 マイクロソフトはWindows .Net Server RC1(Release Candidate 1)についてのプレス向けセミナーを開催した。ストレージ管理の改善点および新機能紹介の2回目は、自動システム回復(ASR)機能、SAN(Storage Area Network)のサポート、仮想ディスクサービス(VDS)について触れる。

 米国テロからちょうど1年を経過しようとしているが、この間にIT業界の間でも、さまざまなベンダーが災害時におけるシステムの素早い復旧というテーマである「ディザスターリカバリー」を強調してきた。Windows .Net Server(.Net Server)でも、これに対応した新機能が追加されている。それが「ASR(Automated System Recovery)」つまり、自動システム回復機能だ。

 ASRは、OSやシステム状態、ハードウェア構成、アプリケーションを保存し、災害から回復する過程において1ステップで復元する機能。Windowsに含まれるバックアップアップアプリケーションは、システムを復元するためにASRを利用するよう簡単に構成できるという。ASRとRIS(Remote Instllation Services)を組み合わせることで、ユーザーが直接介入せずに、ネットワークを越えたリモートによるシステム復元が可能になるという。フォーナイン「99.9999%」(1年間のシステムの稼働時間)を目指し、システムダウンタイムを極力減らすことを目指す同社にとっては、力の入った新機能と言っていい。

新機能「仮想ディスクサービス」

 さらに、同OSでは、複数のストレージを仮想化し、単一インタフェースで管理する機能「VDS(Virtual Disk Service)」(仮想ディスクサービス)を提供する。システム的には最下層に点在するストレージのハードウェアやソフトウェアの上の階層に、1枚のVDSが被せられ、VDSが管理アプリケーションからの要求を受け付けるようなイメージになる。

 ここでは、VDSが最下層のハードウェアおよびソフトウェアそれぞれのRAID構成を仮想化する。ストレージの種類が異なっていても、仮想的にグループ化された単位でサービスが実行される。このため、異なったストレージが混在していても一元的に管理できるようになるという。

サーバとストレージをSANに集約

 .Net Serverでは、SANに対して新たなサポートを行っていることが強調されている。

 なお、SANはサーバとストレージ間を接続する専用のネットワークのこと。ストレージには磁気テープライブラリやディスクアレイなどがある。ファイバーチャネルなどの専用線が必要な分、NAS(Network Attached Storage)よりもコストは掛かるが、既存のLANに負荷を与えないなど、性能は高いと言われている。

 SANへの新しい対応では、SAN構成からのWindows .Net Serverの起動および実行が可能になる。これは、各ストレージハードウェアベンダーが対応しているものなので、それぞれのカスタム構成が必要になるという。

 新機能では、クラスタ内のすべてのディスクが、単独のHBA(Host Hub Adapter)でアクセス可能な同一ストレージ構成になっていても問題なく運用できるという。これにより、ストレージバス技術には関係なく、複数のディスクを1つの共用ディスクとみなせるという。

 結果的に、複数のHBAで冗長構成されているすべてのサーバ、ストレージを、1つのSANに集約することが可能になり、管理性の高いシステムが実現できるわけだ。

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[怒賀新也,ITmedia]