エンタープライズ:ニュース 2002/09/30 17:46:00 更新


ユーザーの不満を解消するNotes 6

Notes/Dominoの新しいバージョンがまもなく登場する。注目すべきは、「いかにして既存のNotes/Dominoユーザーにアップグレードを決断するだけのベネフィットを提供しているのか?」だ。短期連載の初回は、クライアントのNotes 6についてお伝えする。

 Notes/Dominoの新版、「Notes/Domino 6」が、まもなく市場へと投入される。世界中の企業ユーザーへと一挙に導入が進んだNotes/Dominoだけに、注目は「いかにして既存のNotes/Dominoユーザーにアップグレードを決断するだけのベネフィットを提供しているのか?」だ。

 製品版の登場を前に、Notes/Domino 6の英語RC(リリース候補)版を基にして、Notes 6、Domino 6、Domino Designer 6の紹介をしたい。短期連載の初回は、クライアントのNotes 6についてお伝えする。

管理性の向上がキーワード

 Notes 6の新機能に関しては、ZDNetでも「Lotusphere 2002」カンファレンスの速報記事としてお伝えした。ユーザーが体験するNotes 6は、それまでの不満を払拭するユーザーインタフェースを大きく改善する機能アップが図られている。

 もっとも、冒頭に述べた既存ユーザーがアップグレードを決断する理由としては、ユーザーインタフェースや機能性の改善による生産性のアップだけでは難しい面があることも確かなはずだ。ユーザーインタフェースや機能性の改善については、後ほどお伝えするとして、日本IBMがNotes 6でもっとも強調している管理性の向上について触れることにしたい。

 これまでNotesユーザーの不満として、アップグレード管理や各種クライアント設定の集中管理が行いにくいというものがあった。Notes 6にはこれらの問題に対する回答が盛り込まれている。

 まずアップグレードに関しては、アップグレード用モジュールを登録するNotesデータベースにアップデートモジュールを登録し、さらにDomino 6で採用されたポリシーベースのディレクトリ管理機能を用いて、アップデートモジュールの自動適用を指定しておくことで自動アップデートを実行できるようになった。以前もアップグレードモジュール配布の仕組みは提供されていたが、自動アップデートまでは行うことができなかった。

 これはNotes 6が起動時にディレクトリに登録されたユーザー情報を参照し、それに従って起動シーケンスを順次実行するようになったため。自動アップデートのチェックを行うように指定されていると、Notes 6は新しいモジュールが存在するかを確認し、必要ならばそれを適用する。これにより、管理者によるクライアントバージョンの集中管理が可能になった。

 またクライアントの各種設定に関しても、ディレクトリのポリシー設定により管理者が一括して指定できるようになっている。Notesの設定情報はアドレス帳に記録されるが、これはNotes 6でも変わっていない。また、特に設定変更を行えなくする機能が加わっているわけではないため、ユーザーが誤って(もしくは勝手に)設定変更を行うことはできてしまう。

 しかし、管理者側で設定を制御する設定をディレクトリ上で行っておくと、アドレス帳データベースのチェックをサーバに行うたびに、クライアント側の設定がサーバ側で登録されているものへと自動的に上書きされるようになる。

 これらの変更は、Notes 6のディレクトリ管理機能に依存するため、Domino 6とセットで利用する必要はある。しかし、クライアントのアップデートで走り回る必要がなくなることを考えれば、非常に重要な改善とは言えるだろう。

 さらにマルチユーザーソリューションも組み込まれている。1台のPCを複数ユーザーが利用できるように、データの保存方法を共通部分とユーザー個別の部分に分割して保存し、ユーザーごとに切り替えてNotesを利用できるようにもなった。さらに別々のPC間で同じユーザーが同じ環境でNotesを利用できるよう、ユーザーローミングの機能が加えられているため、出張先の支社のPCでNotesを使った情報へのアクセスが簡単に行えるようになる。

 これは個人設定をサーバ側に持たせることで実現しており、前述した設定情報の集中管理ともつながるもの。この新機能を利用すれば、社内の別々の場所、あるいは自宅と会社、デスクトップPCとノートPCなど、異なるハードウェア間で同じ環境でNotesを使えるシステムを容易に組むことが可能となる。

Notes独特のUI制限を緩和

 Notesには、これまでその仕組み上、これまで超えられなかったユーザーインタフェースの壁が存在した。

 ご存じのように、Notes上で利用できる各種機能(メール、スケジューラー、そのほかカスタムアプリケーション)は、それぞれNotesデータベースで構築されたアプリケーションとして動作している。Notesはすべての情報を文書データベースに保存し、そのデータベースをさまざまなビューで見せることにより、各種機能の画面表示を実現している。このため、画面上に配置されている要素はデータベースから変換・生成された情報に過ぎず、双方向の更新を行うことができなかった。

 このため、現代的なGUIアプリケーションでは一般的な、マウスを活用したユーザーインタフェースを構築できず、それがNotesの使いにくさとして口伝されることも少なくない。

 しかし、Notes 6では従来のNotesにはなかった操作性を幾つか実装した。中でもスケジューラーの操作性向上は、既存ユーザーの多くに恩恵をもたらすだろう。これまでのNotesでは、スケジュールの内容をビュー画面上で直接変更できなかったり、タイムテーブル上でスケジュール枠をドラッグして編集するといった、Windows用スケジューラーでは一般的な操作を行うことができなかった。しかし、Notes 6のスケジュール機能はこれらの問題をすべて解決している。

 Notes 6ではビュー上のデータから、それが引用されている元のデータフィールドを更新可能になり、またドラッグ&ドロップによる操作性も加えられた。その結果、スケジューラーに現代的な操作性を加えることが可能になったのだ。分類項目ごとに色分け表示を行う機能も加えられ、これまでの不満は大幅に改善されたと言っていい。このほか、Palm OS機、Windows CE搭載PDAとのスケジュール同期もサポートしている。

 この仕様変更は、カスタムアプリケーションの制限緩和にもつながっている。Domino Designer 6では、これに伴ってビュー上で変更されたデータを元データベースのフィールドに反映させられるよう、ビュー上の項目プロパティに新しいオプションが設定されている。

 従来も外部データベースシステムとの接続において、データの更新状況をビュー画面にリアルタイムに反映させることは可能だったが、Notes内で自己完結できるようになった点は大きい。スケジューラーだけではなく、ほかのさまざまなアプリケーションの操作性を向上させる効果を期待できるはずだ。

新しくなったウェルカムページ

 Notes R5で加わったウェルカムページのカスタマイズ性が大幅にアップしたことも、Notes 6のメリットのひとつ。これまでのウェルカムページは柔軟性に欠けていたが、Notes 6ではカスタマイズ性の向上により、簡易的なポータルソリューションとして提案できるものになっている。

 ウェルカムページにはメールやスケジューラー、タスクリスト、Webページを配置できるだけでなく、カスタムのNotesアプリケーションやWinodwsのファイルシステムへのアクセスウインドウを配置できるため、文書作成から登録、検索、インターネット情報の取得、メッセージングまで、あらゆる情報をウェルカムページ上で参照、操作可能になる。

 また、メール機能も、添付ファイルをドラッグ&ドロップでファイルシステムに書き込めたり、表示項目をドラッグ&ドロップでカスタマイズしたり、メッセージをスレッドや分類で色分け表示するといった機能が加わった。新着メールの表示もリアルタイムに更新されるようになったため、ビューのリフレッシュを行うことなく、新しいメールがリストアップされる。いずれも、一般的なWindowsのメールクライアントであれば珍しくはない機能だが、従来のNotesではできなかったことばかりだ。

 新たにWebベースのビジネスポータルを構築したいが、あまり大きな予算を割けないといった場合、Notes 6のウェルカムページが助けになるかもしれない。

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関連リンク
▼Notes/Domino 6サイト

[本田雅一,ITmedia]