エンタープライズ:ニュース 2002/11/05 20:18:00 更新


Windows .NET Serverはセキュリティ、可用性、パフォーマンスの向上を目指す

11月5日〜7日まで東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催されている、the Microsoft Conference 2002/fallの模様をお届けする。初日となる5日のセッションは全体で7つのトラックに分かれており、話題のTablet PCから自治体向けの電子化ソリューションまで多岐にわたっている。午前中の基調講演のあと、収容人数5,012人を誇る最も広いAホールを使った午後最初のセッションは、Windows .NET Server 2003 製品概要の説明で、製品マーケティング本部Windowsサーバー製品部の吉川顕太郎氏が壇上に立った。

 はじめにWindows .NET Server 2003の正式な製品ラインナップがあらためて発表された。最も大規模なシステム構築に向けたDatacenter Editonを筆頭に、最大8個までのCPUをサポートするEnterprise Edition、32ビット版のみ提供となるStandard Edition、そしてWebサービスやホスティングに最適化されたWeb Editionとなる。

 吉川氏によれば、Windows .NET Server 2003は、何よりも堅牢性、それもネットワークセキュリティに関して最大級の重点を置かれたプロダクトになるという。本社での開発を一時中断してまでプログラムコードのセキュリティ検査を行ったというエピソードや、米国本社会長であるビル・ゲイツ氏が全社員に宛てて送った「Trustworthy Computing」のメールをプレゼン中に紹介するなど、マイクロソフトがいかに全社的にこの命題に対して取り組んできたかがアピールされた。

 可用性については、フェールオーバーや負荷分散などクラスタ機能の強化ポイントや、新しいIIS 6.0が備えるワーカープロセス分離モードなどが説明された。

 さらに、Windows .NET Server 2003のパフォーマンス面についても言及され、オーソドックスなファイルサーバとしての機能でもスループットはWindows 2000の2倍(1CPUの場合)という数値がベンチマークテスト(NetBench)の結果とともに示された。これはベータ版での結果であり、製品版ではさらなるパフォーマンスアップを目指すという。

 また、リテールとしては正式発売となる64ビット版についても時間をさいて説明がなされた。明示的な並列処理実行が行えるEPIC(Explicitly Parallel Instruction Computing:明示的並列コンピューティング)技術を採用したインテルのItaniumおよびItanium 2プロセッサをサポートし、飛躍的なスループットが期待できるとしている。

シャドウコピーリストア機能はエンドユーザーにメリット

 そのほか、エンドユーザーに対する生産性の向上という観点からデモンストレーションされたのが、シャドウコピーリストアという新しい機能だ。これは、サーバ上にある共有フォルダ内のファイルはごみ箱に残らず即座に削除されてしまうという命題への1つの解答ともいえる。

 その中身は、あらかじめ設定されたスケジュールにしたがってサーバ上で共有フォルダのコピーが作られ、誤ってファイルが削除された場合でも、クライアント側がそのコピーから該当するファイルを復旧できるというもの。ただしこれを実現するには.NET Server 2003とWindows XPの組み合わせに限られる。

 個々の機能についてはすでに明らかになっているものばかりで目新しさはないものの、全体を見ればその内容にはボリューム感があり、内容の濃い50分間だった。

 セッションの最後で、製品リリースのスケジュールについて述べられた。が、具体的には今年中にリリースキャンディデート(RC)2が出され、年明け早々にはマーケティングベータCDの配布予定があるというレベルの情報にとどまった。発売日についても現在未定で、最近のマイクロソフトOS製品の場合と同様、品質を優先してリリーススケジュールを決めるという方針で固めていくという。

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関連リンク
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[柿沼雄一郎,ITmedia]