エンタープライズ:コラム 2002/11/14 02:51:00 更新


Linux Column:新生ターボリナックスの課題

先週末に新生ターボリナックスの戦略説明会が行われたので、合間を縫って参加して来た。渡邊会長および矢野社長からプレゼンテーションが行われたのだが、その内容をふまえて私なりに同社の現状の課題について整理しておきたい。

8月末の本欄にて「いまだ明確な方向性は出てきていないので、一日も早い戦略の発表が待たれる」と記したが、先週末に新生ターボリナックスの戦略説明会が行われたので、合間を縫って参加して来た。会場は親会社となったSRAの会議室で、おおよそ30名ほどの参加者だった。

 渡邊会長および矢野社長からプレゼンテーションが行われたのだが、その内容をふまえて私なりに同社の現状の課題について整理しておきたい。

信頼をどう回復するか

 OSに信頼性が求められるのと同様、OSベンダーにも信頼性が求められる。エンドユーザーはともかく、実際に顧客との間に入るシステムインテグレーターからの信頼を回復することができるか?

 個人的には挽回のチャンスはあると思う。それはレッドハット・ジャパンが日本の市場において実質的には何もしていない、という声がいくつかのシステムインテグレーターの担当者から聞こえてくるからだ。渡邊会長自ら、「ターボリナックスはもう大丈夫。絶対に潰さない」と声を大にして言っていたが、具体的な行動あってこその信頼回復だけに、どうなるかは今後の活動にかかっている。

製品について

 United Linuxにおいてはアジア地域担当という感じが強いが、製品としてはハイエンド製品となるTurbolinux Enterprise Serverからが、United Linuxベースの製品となる。ラインナップとしてはミドルレンジのTurbolinux Serverとクライアント・ワークステーション向けのTurbolinux Workstationがあるが、これらについてはUnited Linuxベースのものの具体的なリリースプランは明かされなかった。

 個人的な印象で言ってしまえば、ベースが違うものが3つのセグメントに分かれて存在していることは、ユーザーに対して分かりにくさを感じさせてはしまわないか。この辺りの解消にはやや時間がかかるかもしれない。

日本の市場性

 渡邊会長のプレゼンテーションでは、中国市場での好調さが強調されていた。しかし全体を通して、日本市場に対する見通しは示されなかった。年間売上目標(見通し?)として日本で9億円弱という金額が提示されていたが、これが達成できるかどうかが一つのハードルとなるだろうか。市場が落ち着いてしまっている現状で、市場のリーダーとしての役割を果たすとする時に、どのような方策を採るのかは明確にはなっていない。

 1時間ほどと時間が短かったこともあり、細かい点については聞くことが出来なかったし、そのようなことは話よりも実際に何が行われたか、ということを見るべきだろう。それに市場は生き物であり、理想論で語ったからといってどうなるものでもない。少なくとも、1年前の同社を振り返って比較すれば「生き返った」と感じることはできた。新たに参加したスタッフもいるようなので、同社が一丸となって日本のLinux市場を活性化するプレイヤーとして活躍することを期待したい。

[宮原 徹,びぎねっと]