エンタープライズ:ニュース | 2002/11/19 20:49:00 更新 |
Keynote:「HPならすべてが可能になる」とHPの力をアピールするフィオリーナCEO
18日に開幕した「COMDEX/Fall 2002」のキーノートに、新HPの会長兼CEOカーリー・フィオリーナ氏が登場。「すべてが可能に」という、タイトルでスピーチした。マイケル・カペラス社長の辞任に話が及ぶことはなかった。
11月18日に開幕した「COMDEX/Fall 2002」のキーノートに、新ヒューレット・パッカード(HP)の会長兼CEOカーリー・フィオリーナ氏が登場。「すべてが可能に(everything is possible)」という、HP展示ブースのテーマと同じタイトルでスピーチした。先週、マイケル・カペラス社長が辞任し、巨大IT企業の孤高のトップとなったフィオリーナ氏だが、カペラス氏の辞任については触れることなく、合併後のHPがいかにすばらしいテクノロジカンパニーであるかを訴えるものとなった。
すべてが可能にとアピールするカーリー/フィオリーナ会長兼CEO
フィオリーナ氏は、新HPについて「“少し”紹介します」と前置きし、14万人の社員が世界中すべてのタイムゾーンで働いていること、160カ国において、43の通貨、15の言語でビジネスを行っているということがHPの資産なのだと述べた。そしてコンパックとの合併は、顧客に対してより多くのものを提供できるようになったという意味において、我々の市場でのポジションを高めたとした。
「我々は、スーパーコンピューティング、管理ソフト、Windows/UNIX/Linuxサーバ、ワークステーション向けストレージ、デジタルイメージング、プリンティングにおいてマーケットリーダーであり、これは大きなアドバンテージです。我々のポートフォリオはPDAからノンストップサーバ、49.95ドルのプリンタから数百万ドルの商用プリントシステムにまで及びます」と扱う製品/サービスの豊富さをアピールした。
また、世界の国々の株式市場や携帯電話システム、アディダスやダイムラークライスラー、ノキア、AOLなどのコンピュータシステムを動かしていること、1万6000の特許を持ち、毎日3つの割合でそれが増えていること、それらが40億ドルにおよぶ研究開発投資の結果であること、マイクロソフトやインテル、ピープルソフト、オラクル、BEA、シーベルなどのNo1パートナーであることなどを次々と紹介し、合併作業は非常にうまく進んだと感じているとしつつも、「顧客がどう感じてくれているかが大切なのです」と付け加えた。
HPの技術の象徴として紹介された、カーネギーメロン大学ピッツバーグスーパーコンピューティングセンターのシステム。分子の振るまいのシミュレーションに使われるもので、1秒間に6兆回の演算が可能で、およそ1万台のPCに匹敵するそう
HPの顧客の例としては、カーネギーメロン大学ピッツバーグスーパーコンピューティングセンターに納入したTCS(Terrascale Computing System)や、F1のBMWウィリアムズチームに納入したサーバ、ストレージ、管理ソフトから、ノートPC、プリンタにいたる分析・検証システム、ビールブランドのクアーズに納入した小売店向けのオンデマンドポスター印刷システム、映画制作会社ドリームワークスに納入したフルCG映画「シュレック」のCG作成システム、またNASAのテクノロジパートナーであることなどをビデオを交えて紹介した。
フィオリーナ氏の基調講演は、前日のゲイツ氏のキーノートと比べると、個々の製品やサービスそれ自体よりも、HPという会社、HPというブランドイメージをアピールするものとなったが、スピーチの最後に、発表したばかりの新製品である新型の「iPAQ h1910」「iPAQ 5450」と「Compaq Tablet PC TC1000」を紹介することも忘れなかった。
iPAQを手にするフィオリーナ氏。この後Tablet PCを使って、マイクロソフトのバルマー氏に「私の基調講演の間はメックアサルト(Xbox Liveのゲーム)しないでね」と手書きメールを送った
フィオリーナ氏は「進歩は皮肉屋や疑い深い人々によってなされるのではなく、すべては可能だと信じる人々によってなされるのです」という言葉でスピーチを締めくくったが、HPとコンパックの合併の効果や、カペラス氏の辞任によって新HPの行く末を案じるアナリストたちにこそ、伝えたいメッセージだったに違いない。
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COMDEX Fall 2002レポート
[佐々木千之,ITmedia]