エンタープライズ:ニュース 2002/12/11 22:16:00 更新


日本IBM、競合他社サーバマシンを設置したソフトウェア検証センターを渋谷に開設

日本IBMが、競合他社の主力サーバ機を用意し、マルチベンダー環境でアプリケーションやソリューションの動作検証できる「ソフトウェア・コンピテンス・センター」を渋谷マークシティにオープンした。300を超えるシステムインテグレーターやISVが詰め掛けた。

 日本アイ・ビー・エムは12月11日、「ソフトウェア・コンピテンス・センター」(Software Center of Competency:SWCOC)を東京・渋谷のマークシティに開設した。競合他社の主力サーバ機が用意され、マルチベンダー環境でアプリケーションやソリューションの動作検証できるのが特徴だ。夕方から行われたパーティーには、300を超えるシステムインテグレーターやISVが詰め掛け、同センターに対する期待の高さを裏付けた。

 夕方から行われたパーティーで挨拶に立った大歳卓磨社長は、「われわれは、新しい戦略“e-ビジネス・オンデマンド”を打ち出したばかりだが、それをシングルベンダーで支えるなんて考えられない。徹底してオープンを打ち出したSWCOCで最適の組み合わせ、最適のソリューションを検証し、みなさんの顧客に提供していただきたい」と話した。

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「SWCOCからはIBMのロゴも外した」とオープンさを強調する大歳社長

 SWCOCには、検証施設と情報発信拠点という2つの顔がある。検証施設では、パートナー企業らがWebSphere、DB2、Lotus、TivoliといったIBMミドルウェアをベースとした各社のアプリケーションを動作検証できる。この日、報道陣に公開されたサーバルームには、IBMのeServer xSeries、pSeriesだけでなく、サン・マイクロシステムズ、ヒューレット・パッカード、富士通、NECの主力サーバ機がずらりと並んだ。ストレージもEMC、日立、富士通、NECの製品が用意されている。

 IBMのミドルウェアをベースとしたアプリケーションやソリューションを提供しているSI、ISVらで一定の資格を満たしているパートナーであれば、無償で検証施設を利用できるという。120名のエンジニアも常駐しており、迅速な技術支援が受けられるようになっている。

 7月からソフトウェア事業部長に就任し、SWCOCの開設を推進してきた堀田一芙常務は、「顧客らは、IBMのミドルウェアを選んだ理由として、テクニカルサポートやパートナーを挙げる。SWCOCによって、そうした力を結集したい」と話す。

 パートナーの大塚商会は、さっそくSWCOCでソリューション検証を行う予定だ。システム担当常務を務める片倉一幸氏は、「顧客の実際のコンピューティング環境はマルチベンダーになっている」とし、SWCOCの開設を歓迎する。

 日本IBMのソフトウェア事業部でSWCOCを担当する高橋正登氏によれば、持ち込まれている検証案件は既に2桁に達しており、早くも来年早々の検証施設拡張が検討されているという。

 日本IBMは11月下旬、J2EEアプリケーションサーバであるWebSphere Application Serverの新バージョンを発表するとともに、WebSphereファミリーにエントリー向けの「WebSphere Express」を開発・追加していくことも明らかにしている。このWebSphere Expressは、ISVパッケージのエンジンとして組み込まれることを想定しており、将来的には500社近いパートナーの獲得を目指しているという。

 堀田常務によれば、WebSphhere Expressによって、同社がこれまでリーチできなかった中小規模の事業者へすそ野を拡大することを狙っており、独立系のデベロッパーらに対する情報発信も視野に入れているという。

 なお日本IBMでは、東京に続き、2003年春には大阪・堂島にもSWCOCを開設する予定だ。

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[浅井英二,ITmedia]