エンタープライズ:ニュース 2003/01/22 22:19:00 更新


BMCソフトウェア、監視機能に絞ったエントリー版「PATROL Express」を発表

BMCソフトウェアは、かねてより予告していたエントリー向けシステム監視製品、「PATROL Express」を発表した

 BMCソフトウェアは1月22日、システム統合運用管理ソフトウェア「PATROL」のライトバージョンに当たる新製品、「PATROL Express」を発表した。同社が前々より予告していた「エントリー向けPATROL」だ。

 PATROLは、監視対象に搭載された専用エージェントを通じて、OSやアプリケーションの各種情報を収集し、システムの安定的な運用・管理を支援するシステムだ。だが、「さらに導入や運用監視に要するコストを削減したい」というユーザーの要望に応え、エージェントの不要なエントリーレベルの製品として、PATROL Expressを提供することとした。

 PATROL Expressは、ルータ/スイッチといったデバイスやOSの稼働状況に加え、DNSやWeb(HTTP/HTTPS)などインターネットで提供される基本的なサービス、それにExchangeやOracle/SQL Serverなどのアプリケーションの稼働状況をチェックし、「RSM(リモート・サービス・モニター)」と呼ばれる専用サーバに送信する。つまり、監視対象となる機器に個別にエージェントをインストールするのではなく、ファイアウォール内部に置かれたRSMが一括して情報を収集する仕組みだ。

 RSMは収集したデータをまとめ、XML形式で「SIP(サービス・インテグレーション・ポータル)」に送信する。これらを基に生成された、リソースの使用状況やプロセスの状態、QoSなどに関するレポートは、Webブラウザ経由で確認可能だ。また、既に何らかのポータルサイトを立ち上げている場合には、これをポートレットの形で組み込むこともできる。

 PATROL Expressの監視対象1台あたりのライセンス価格は1万5000円から。SIPは229万2000円からとなる。PATROLに比べて「半額以下」(同社)といい、システム監視の必要性を認めながらも、コストがネックとなってきた中小規模企業はもちろん、大量のサーバを運用するインターネットデータセンター(iDC)事業者や各種サービスプロバイダー(xSP)にとっては、大きなコストメリットがある。

 ただ、「Clasic版」PATROLに比べると、やや機能に制限があることも否めない。例えば、PATROLでは、収集した情報やイベントを基に、障害の発生を未然に防ぐ「リカバリーアクション」が大きな特徴の1つだが、PATROL Expressが提供するのはあくまで「監視」のみで、こうしたリカバリ・対処機能はない。

 また、監視内容も基本的な項目に限られる。「例えばOracleデータベースを例にとると、PATROLでは300以上のパラメータに対応するが、PATROL Expressでは監視項目を30程度に絞っている。とはいえこの30あまりでも、基本的な監視機能は実現できる」(同社技術本部、ソリューションアーキテクトの福元一志氏)と言う。

 BMCソフトウェアの狙いは、PATROL Expressという新たな選択肢を追加することで、顧客の目的や運用形態に合わせた監視ソリューションを提供することにありそうだ。したがって、まずPATROL Expressを導入したのち、基幹部分はPATROLへ拡張してもいいし、逆に既に導入済みのPATROLのうち、重要度に応じてPATROL Expressを導入し、効率化とコストの削減を図ることもできる。

 PATROL Expressは4月に出荷開始となる予定だ。既にいくつかのiDCやxSPが、導入に向けた見当を進めているという。同社では、PATROLビジネス全体のうちPATROL Expressが占める割合を25%程度にまで高めていきたいとしている。

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[高橋睦美,ITmedia]