エンタープライズ:ニュース 2002/12/06 18:54:00 更新


BMCソフトウェアが顧客ビジネスに主眼を置いた新戦略、来年には廉価版「PATROL」も

BMCソフトウェアは、ソリューション提案力の強化、パートナービジネスの強化、サービスビジネスの拡大という3つの柱からなる新しいビジネス戦略を発表した

 BMCソフトウェアは12月6日、「ユーザーのビジネスステップやパートナーのニーズに合わせ、柔軟にソリューションを提供するため」(同社代表取締役社長の藤野雅俊氏)の、新しいビジネス戦略を発表した。

 同社は、ビジネスのアベイラビリティ向上を掲げ、企業システム管理スイート「PATROL」シリーズを提供している。11月には米ベレグリンシステムズより、サービスレベル管理製品の「Remedy」部門を買い取り、製品ポートフォリオをさらに拡大した。

 しかしながら藤野氏によると、「これまでエンタープライズ・システム・マネジメント(ESM)は、顧客の期待に十分応えられなかった」。そのうえ景気の低迷が重なり、既存のシステムを効率的に活用したいというニーズが高まっているという。同社はこうした背景を踏まえ、改めてビジネスレベルでのサービス管理に注力する方針だ。

「これまでのインフラ管理から、ビジネスのサービス管理に向けてシフトしていく。顧客のビジネスに即した、エンドツーエンドでのサービスレベル管理を実現すべく、活動を強化していきたい」(藤野氏)。

bmc_fujino.jpg
「顧客のビジネス向上につながるサービスレベル管理を実現していきたい」という藤野社長

 今回発表された戦略は、3つの柱からなっている。1つめはソリューション提案力の強化で、重要な顧客には担当ソフトウェアコンサルタントを配置し、より現場に近い部分でのサービスを強化する。また、米国本社に対する顧客の要望のフィードバックと開発活動を加速し、ニーズに応じた製品をより短い期間で提供できるよう取り組んでいくという。

 2つめはパートナービジネスの拡大だ。従来、同社セールスの過半数は直販ベースだったといい、現在22社を数えるパートナーとの協力内容も、ほぼ同じ形態だった。しかし今後は、レポーティング機能の強化のほか、OracleをはじめとするデータベースやSAP R/3、ストレージなど、個別のニーズに特化した形のパートナー形態を展開していく計画だ。同時に、サービスレベル管理に重点をおいたパートナーを新たに開拓。これからの1年間で、パートナー数を約60社にまで拡大する方針である。

 最後はサービスビジネスの拡大である。BMCソフトウェアではこれまでも、サービスビジネスを提供していたが、今後は、BMCソフトウェアのアジア太平洋地域全体のリソースを活用し、いっそう品質を高めたプロフェッショナルサービスを展開していくという。具体的には、セキュリティやストレージといった成長の見込める市場に加え、同社が得意としてきたオープン系データベース分野の整備、強化を図る。

 また、“管理は必要だが、もっと気軽に投資できるようにしてほしい”という国内顧客のニーズに応え、2003年には「廉価版PATROL」が投入される見込みだ。現行のPATROLが備える、トラブルに対するアクション自動化機能は省かれているが、その分価格を半額程度に抑え、ローエンド市場に展開していくという。

 最近では多くの企業が、“顧客ビジネスへの特化”“ビジネスの視点にたったエンドツーエンドの管理”といったキーワードを唱えるようになっている。だが藤野氏は、「いままさに多くの企業が“これからビジネスのサービス管理にどのように取り組もうか”と考え始めたところ。(新戦略の発表は)ちょうどいいタイミングだ」という。

「(似たようなことを)提唱する企業は多いが、本当にそれを実現できるところとなると、いったいどれだけあるだろうか。BMCソフトウェアのほかにはほとんどないだろう」(藤野氏)。

関連記事
▼破産したペレグリン、RemedyをBMCに売却
▼3層アーキテクチャ採用で柔軟性を高めた「PATROL 7」

関連リンク
▼BMCソフトウェア

[高橋睦美,ITmedia]