エンタープライズ:ニュース | 2003/01/23 18:38:00 更新 |
基調講演:AMDルイズ氏Linuxコミュニティとの関係を強調
LinuxWorldのキーノートスピーチは、AMDの社長兼CEOであるヘクター・ルイズ氏。2002年11月のComdex/Fallでもキーノートスピーチを行い、派手な演出でデスクトップ用64ビットプロセッサであるAthlon 64を紹介したが、今回のキーノートは、それに比べるとおとなしいものだった。
LinuxWorld初日のキーノートスピーチは、AMDの社長兼CEOであるヘクター・ルイズ氏。同氏は、2002年11月のComdex/Fallでもキーノートスピーチを行い、派手な演出でデスクトップ用64ビットプロセッサであるAthlon 64を紹介したが、今回のキーノートは、それに比べるとかなりおとなしく、いわゆる普通のスピーチだった。
しかし、スピーチ途中にAMDプロセッサ搭載システムを使う顧客が登場し、AMDプロセッサを使ったさまざまな応用を見せることで、AthlonやOpteronのイメージ向上と性能アピールを行うというスタイルは同じ。
すでにOpteronは、スーパーコンピューターメーカーであるクレイが米国エネルギー省のサンディア国立研究所に納入予定のスーパーコンピュータに採用されている。
ルイズ氏は、このクレイのプロジェクトを紹介しつつ、Opteronプロセッサの性能を語るクレイエンジニアのビデオを上映(ちなみにこれはComdex/Fallでも公開した)。
また、映画「スクービードゥー」のCGを担当したリズム&ヒューズは、同映画の主人公である犬のCGをAthlon MPマシンによるLinuxクラスタシステムでレンダリングしたと話す。
SuSE LinuxのCEO、ボリス・ビアレック氏や過激な発言(同氏によれば、それは昔のことで現在は感情を抑えることができるとのこと)で有名なジョン・“マッドドッグ”・ホール氏(Linux International)が、64ビットLinuxの可能性について語った。
へクター・ルイズ氏(左端)とLinux業界の人々。右から2人目がジョン・“マッドドッグ”・ホール氏。
最後に、ジョン・“マッドドッグ”・ホール氏や、Free Standards Groupのスコット・マクニール氏などが壇上に登場、64ビットプロセッサとLinuxの業界への影響についてルイズ氏を交えてディスカッションをおこなった。
自社製品のユーザーだけでなく、業界の著名人物などを呼んだのは、AMDがLinuxコミュニティとの「深いつき合い」を望んでいるから。Hammerシリーズは、早いIA-32互換プロセッサ(Athlon)としても動作するが、64ビットプロセッサとしても動作する。このときに最も入手性の高いOSがLinuxなのである。マイクロソフトもx86-64対応のWindowsを開発すると公言しているものの、Athlon 64/Opteronを採用するPCセットメーカーが現れ、そこがOEMを行う以外には、入手の可能性が非常に低い(マイクロソフト自身がパッケージ販売することはおそらくないとみられている)。
特にサーバシステム用にOpteronを売り込むためにはLinuxが必要不可欠というわけ。AMDは、まだ、Hammerシリーズがソフトウェアでできたエミュレータだった時代からLinuxWorldに参加、そしてようやく製品の出荷にまでこぎ着けてきたわけである。Itaniumに比較して必然的に低価格となるOpteron/Athlon 64は、各種のソフトウェアプロジェクトでも利用しやすく、コミュニティの以降によっては、サーバ分野で大きく飛躍できる可能性も秘めている。
そのためにも今年を64ビットLinuxの年にしたいAMDだが、コミュニティはどういう判定を下すのだろうか?
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関連リンク
AMD
LinuxWorld Conference & Expo
LinuxWorld New York 2003レポート
[塩田紳二,ITmedia]