エンタープライズ:ニュース 2003/01/28 20:46:00 更新


マイクロソフト、「MSN 8」日本語版で有料インターネットサービスに本格挑戦

マイクロソフトは、同社のポータルサイト「MSN」を利用した有料会員制インターネットサービス「MSN 8」日本語版を発表した。家族で楽しめるインターネットサービスを提案することで、ネットサービスの有料化に本格挑戦する。

 マイクロソフトは1月28日、同社のポータルサイト「MSN」を利用した有料会員制インターネットサービス「MSN 8」日本語版を発表した。家族で楽しめるインターネットサービスを提案することで、ネットサービスの有料化に本格挑戦する。

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MSN2000万ユーザーの10%を有料会員制サービスに誘導するのが目標、と語る塚本良江氏(MSN事業部 事業部長)

 MSN 8は、同社が提供しているポータルサイト「MSN」を利用した家庭向けの会員制インターネットサービス。阿多親市社長は発表会で、「"人の可能性を広げる"というマイクロソフトのビジョンに基づいて研究開発を行ってきたものだ」と述べ、MSN 8の開発に関しては、家庭の主婦から多くのヒントをもらい、家庭で楽しいインターネット環境とは何かを追求したものであることを強調した。

 MSNはワールドワイドで3億のユニークユーザーを持つ。国内向けのMSN月間ユニークユーザー数は2000万に及んでいるという。マイクロソフトは95年にMSNを開始して以来、メールサービス「Hotmail」、インスタントメッセンージング(IM)「MSN Messenger」と、同社の本業であるソフトウェアを強みとしたサービスを提供、拡大させてきた。また、2000年には収益の一方であるインターネット接続サービスを止め、広告主体のポータルビジネスに完全注力していた。しかし、2002年4月からはHotmailの追加容量サービスなどで、課金を行う会員制インターネットサービスに乗り出している。

 MSN事業部長の塚本良江氏は「(課金は)チャレンジだと考えているが、インターネットを家庭で楽に使うのは難しいものだ。マイクロソフトはMSN 8をお金を取れるネットサービスのひとつの解と考えている」と語った。

 同社は、MSN 8によりMSNをビジネス利用や特定利用から家庭利用へと拡大させていきたい考えだ。塚本氏は「女性や子供をターゲットに家族で利用できるインターネットサービスを提供する」と述べる。その理由として、家庭でのブロードバンド回線の普及を挙げ、「MSNへアクセスするブロードバンドユーザーは、ナローバンドに比べ3倍以上利用時間が長いという結果が出ている」「また、NECが家族で利用できるPCを発売して好評を得ている」と説明した。

 家庭での利用を図るMSN 8は、1契約で9人までのアカウントを発行する。子供でも直感的に簡単に利用できるよう設計したという専用ブラウザとなるインタフェースには、表示サイズを変更できる「メニューバー」や、気になる情報を常に表示するための「ダッシュボード」を搭載。家族用ソフトウェアとして、デジカメ編集ソフト「Picture IT! Express」、総合百科事典「MSNエンカルタ百科事典」をオンラインで利用できる。

 また、安心できるインターネット環境を提供するため、ウイルス検知・駆除サービスのほか、保護者によるコンテントフィルタリング、メールやIMの相手確認、子供のインターネットでの行動を確認できる週間レポート機能などを備えた。特に週間レポートは「子供に制限をかけたくないが、何を見ているか把握したいと、日本のベータテスターに高い評価をいただいた」という。

 同社はポータル2000万ユーザーの10%をMSN 8や追加サービスに誘導するのを目標としている。コンテンツ、コミュニティサービスはパートナーと連携して充実を図る。また、アクセスインフラ面に関してもISPなどパートナーと連携していく方針で、インターネット接続サービスを再開する考えはないという。

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[堀 哲也,ITmedia]