エンタープライズ:ニュース 2003/02/18 20:45:00 更新


「iSCSIは新しい可能性を開く」、日本ネットワーク・アプライアンスが正式サポート

日本ネットワーク・アプライアンスは、企業向けストレージソリューションの強化を目的に、iSCSIの正式サポートをはじめとする複数の発表を行った。

「iSCSIの今後については、非常に強気の見通しを持っている。iSCSIによって、ネットワークストレージをより多くの場所に展開できるようになり、かなりの問題を解決できることになるだろう」(米ネットワーク・アプライアンスでストラテジック・アライアンス担当副社長を務めるフィル・ウィリアムズ氏)。

 日本ネットワーク・アプライアンスは2月18日、企業向けストレージソリューションの強化を目的に、複数の発表を行った。その1つが、先週標準化が完了したばかりの新しい仕様、iSCSIの正式サポートだ。

 同社はこれまで、SANにも対応した企業向けハイエンド製品「FAS(Fablic Attached Storage)」シリーズをはじめとするNAS製品のほか、バックアップや災害復旧をすばやく実現するニアラインストレージ製品「NearStore」などを提供してきた。背景には、サーバに直接接続されるDAS(Direct Attached Storage)から、NASやSANといったネットワークストレージへの移行という大きな流れがある。

 この中で同社では、当初企業部門向けに提供してきたNetAppシリーズから、アーカイビングとミッションクリティカルの両方向に製品ラインナップを拡大・展開することで、企業にとって重要であり、しかも多様な性質を持つデータの保護と活用を支援していく方針だ。

「ちょうどシスコシステムズがネットワーキングの分野で果たしてきた役割と同じように、われわれは、ストレージネットワークの世界で、ハードウェアやソフトウェア、ファイラーを橋渡しする機能を提供していく」(ウィリアムズ氏)。それも簡素で導入しやすい形で、と同氏は言う。

 この戦略において重要な役割を担うことになるのが、iSCSIだ。同社では、専用OS「Data ONTAP」ソフトウェアを無償アップグレードする形で、顧客がiSCSIに対応できるようにする。またData ONTAP バージョン6.4以降には、iSCSIのサポートが含まれることになるという。過去の投資を無駄にすることなく、既存のインフラや環境を生かしながら柔軟に導入できることも、メリットになるという。

「iSCSIは、ストレージに関する問題を解決する新たな、それも安価な方法を切り開くものだ。企業は、イーサネットとTCP/IPネットワーク、それにストレージを包括する単一のネットワークを求めている」(同氏)。

 同社では、ストレージネットワークの分野で実現してきたデータの保護やセキュリティといった機能をiSCSIでも維持できるよう取り組んでいくほか、相互接続性の実現も進めていく。現に、インテルが開発したiSCSIアダプタカードとの相互接続性は検証できているということだ。

 日本ネットワーク・アプライアンスは合わせて、NearStoreシリーズの新製品となる「NearStore R150」もリリースしている。これに、定期的なデータバックアップ/リストアを実現するソフトウェア「SnapVault」を組み合わせることで、ヘテロジニアスな環境でも高速かつ容易にデータ保護を実現できるという。

「ネットワークストレージの分野で最も多く使われる用途がデータベースだが、われわれのソリューションは、データベース管理に要するオーバヘッドを減らし、TCOを削減できる」(ウィリアムズ氏)。独自のファイルシステム「WAFL(Write Anywhere File Layout)」や管理ツールの「DataFabric Manager」も、運用管理コストを削減し、システム停止による損失を招くことのないよう、企業を支援する助けになるという。

 なおNearStore R150は、最大24Tバイトまで容量を拡張でき、参考価格は6000万円前後からとなっている。

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[高橋睦美,ITmedia]