エンタープライズ:ニュース 2003/02/26 22:42:00 更新


Keynote:環境変化に対応できるオンデマンド企業を目指せ――IBMフォーラム 2003

日本アイ・ビー・エムは2月26〜28日の3日間、都内のホテルにおいてアイ・ビー・エム ビジネスコンサルティング サービスとの共同で「IBMフォーラム 2003」を開催している。

 日本アイ・ビー・エムは2月26〜28日の3日間、都内のホテルや同社の事業所においてアイ・ビー・エム ビジネスコンサルティング サービスとの共同で「IBMフォーラム 2003」を開催している。初日となる26日の午前には、「オンデマンド時代の幕開け 〜e-business on demand〜」と題して、日本IBMの大歳卓麻社長が基調講演を行った。

日本IBM大歳卓麻社長

日本IBM大歳卓麻代表取締役社長の基調講演には1200名を超える聴衆が詰めかけた


 大歳氏は、「顧客価値の最大化」「企業付加価値の最大化」「株主価値の最大化」の3つを現在の企業経営者が抱える課題として挙げた。また、ここ数年の通信インフラの圧倒的な高速化/低価格化やコンピュータウイルス被害の増加、さらには商品に問題が発覚してからの企業の対応発表までの時間の短縮など、企業経営を取り巻くさまざまな環境が大きく変化しているとした。特にこれまでの企業経営が、「変化は予測可能」という前提のもとで静的プロセス(メイク&セル)で行われていたのに対し、今では「変化は予測不可能」という前提のもとで動的プロセス(センス&レスポンド)でなければ対応できなくなったと述べた。

 その上で新しい経営のキーワードとして大歳氏が挙げたのが「可視化」だ。千葉県市川市による市民向けの電子申請情報提供サービスや、東京三菱銀行のWebサービスを使った輸出信用状データ業務の最適化、日本IBMのPC製品事業部のグローバルSCMに基づく情報共有などの例をとりあげて、お客と間のの可視化、サプライヤーとの可視化、社員との可視化について説明した。

 大歳氏が1000人を超える聴衆に訴えたのは、オンデマンド企業への変革だ。オンデマンド企業に要求されるのは、経営サイドにおいては「オンデマンド・ビジネス」への対応であり、ITサイドにおいては「オンデマンド・オペレーティング環境」への対応だという。オンデマンド・ビジネスとは、コアコンピタンスへの集中と、それ以外のものはアウトソースするという経営視点。これにはテクノロジーの進歩を見極めた判断も要求されるという。また、オンデマンド・オペレーティング環境とは、オープン・ミドルウェアによってアプリケーション同士を水平統合し、個別のアプリケーションを最適化するのでなく、取引先も含めたシステム全体を最適化するというもの。

「(オンデマンド企業への変革のためには)企業経営者はまず、自分の会社をこうしたいという考えを持ち、それを支えるためのコンピュータの仕組み、データの仕組みがあって、テクノロジーの進歩も先取りしながら、オンデマンド・ビジネスとオンデマンド・オペレーティング環境の強い連携が必要だ」(大歳氏)

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[佐々木千之,ITmedia]